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階段の上り下りで膝が痛いのはなぜ?原因と受診を考えるサインとは

2026.04.23

「階段を降りるときに膝がズキッと痛む」「上るときに膝に違和感がある」・・・こうした経験はありませんか? 平地を歩くときは問題ないのに、階段だけで痛みが出る。 実はこれ、膝関節に特有の負担がかかっているサインかもしれません。 本記事では、階段の上り下りで膝が痛む原因と、受診を考えるべきタイミングについて詳しく解説します。階段動作ならではの膝への負荷や、痛みの出方の違いに焦点を当て、あなたの膝の状態を理解する手がかりをお伝えします。

階段の上り下りで膝が痛くなる理由

階段動作は、平地歩行とは大きく異なる負荷が膝にかかります。 まず知っておいていただきたいのは、階段の昇降時には膝関節に体重の約3~4倍もの力がかかるという点です。平地歩行では体重の1.5倍程度ですから、階段がいかに膝に負担をかけるかがわかります。 階段を上るときは、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)が強く働き、膝を伸ばす力で体を持ち上げます。この際、膝蓋骨(膝のお皿)が大腿骨に強く押し付けられ、軟骨に圧力がかかります。筋力が低下していると、この負担がさらに増大し、痛みにつながりやすくなります。 一方、階段を降りるときはさらに注意が必要です。 下り動作では、体重を支えながらゆっくりと膝を曲げていく「遠心性収縮」という筋肉の働きが求められます。この動作は筋肉への負担が大きく、さらに着地時の衝撃を吸収しなければならないため、膝関節や軟骨に強いストレスがかかります。 膝を伸ばした状態からほんの少し曲げた状態(約1.5度の屈曲)で、膝蓋下脂肪体という組織の内圧が最も高まることが研究で明らかになっています。階段を降りる際の膝の曲げ始めに痛みを感じる方が多いのは、この内圧上昇が関係している可能性があります。

「上りで痛い」「下りで痛い」・・・痛みの出方で原因が異なる

階段での膝の痛みは、上りと下りで原因が異なることがあります。 上りで痛む場合は、太ももの前側の筋力不足が主な原因として考えられます。大腿四頭筋の力が弱いと、体を持ち上げる際に膝関節への負担が増し、痛みが生じやすくなります。また、お尻の筋肉(中殿筋)の筋力低下も関係していることがあります。 下りで痛む場合は、膝関節の軟骨のすり減りや、膝蓋下脂肪体の問題、衝撃吸収機能の低下が考えられます。変形性膝関節症の初期症状として、下り動作での痛みが現れることも少なくありません。膝に水が溜まっている場合、膝蓋下脂肪体を圧迫して内圧がさらに高まり、痛みが強くなることもあります。 どちらの場合も、ふくらはぎの筋肉が硬くなっていると、膝への衝撃を十分に吸収できず、痛みが増す傾向があります。

階段での膝の痛みの主な原因疾患

階段動作で膝が痛む場合、いくつかの疾患が考えられます。

変形性膝関節症

最も多い原因の一つが変形性膝関節症です。 膝関節の軟骨がすり減り、関節炎や変形を生じることで痛みが現れます。動き始めや立ち上がり、階段の上り下りで痛みが強くなるのが特徴です。進行すると、しゃがみ込みや正座が困難になり、膝がまっすぐ伸ばせなくなることもあります。 加齢や体重増加、膝のけがや病気が要因となり、特に女性に起こりやすい傾向があります。

半月板損傷

膝の内側と外側にある半月板という軟骨組織が損傷すると、階段動作で痛みが出ることがあります。 サッカーなどの急な切り返し動作や交通事故などで強い力が加わることが原因となりますが、60代以降の方では、ちょっとした衝撃でも半月板が損傷しやすくなります。損傷した位置によって、痛みの出る場所が異なります。

膝蓋下脂肪体の問題

膝蓋下脂肪体は膝のお皿の下にある組織で、この部分の内圧が高まると痛みの原因になります。 階段を降りる際の膝の曲げ始めや、正座やしゃがみ姿勢など膝を深く曲げた状態(120度以上)で内圧が高まりやすく、痛みを感じることがあります。この場合、グルコサミンやコンドロイチンのサプリメント、ヒアルロン酸注射では改善しにくいため、脂肪体を柔らかくする治療が必要です。

その他の原因

靭帯損傷、鵞足炎、腸脛靭帯炎(ランナー膝)、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)など、スポーツによる膝の酷使が原因となる疾患もあります。また、関節リウマチや痛風などの炎症性疾患、深部静脈血栓症なども膝の痛みを引き起こすことがあります。

受診を考えるべきサインとは

階段での膝の痛みが続く場合、どのタイミングで医療機関を受診すべきでしょうか? 以下のような症状がある場合は、早めに整形外科を受診することをお勧めします。

歩くことが困難なほどの強い痛み

階段だけでなく、平地歩行も困難になるような強い痛みがある場合は、すぐに受診してください。 骨折や靭帯損傷など、緊急の処置が必要な状態の可能性があります。特に60代以上の方では、骨粗鬆症により気づかないうちに骨折していることもあります。

膝の腫れや熱感が強い

膝が赤く腫れている、触ると熱を持っている、という場合は炎症が強い状態です。 痛風性関節炎や化膿性関節炎など、早急な治療が必要な疾患の可能性があります。膝に水が溜まって腫れている場合も、原因を特定するために受診が必要です。

軽い痛みでも長く続いている

痛みは軽度でも、数週間以上続いている場合は受診を検討してください。 変形性膝関節症や半月板損傷など、進行性の疾患が隠れている可能性があります。早期に原因を特定し、適切な治療を開始することで、症状の悪化を防ぐことができます。

膝が引っかかる、外れる感覚がある

階段動作で膝が引っかかる感じや、膝が外れそうな不安定感がある場合は、靭帯損傷や半月板損傷の可能性があります。 放置すると症状が悪化し、手術が必要になることもあるため、早めの受診が大切です。

神保町整形外科での治療アプローチ

神保町整形外科では、階段での膝の痛みに対して、原因を丁寧に評価し、一人ひとりに合わせた治療を提供しています。

痛みの原因をしっかり調べる

まず、レントゲンや超音波検査を必要に応じて行い、症状の背景にある筋肉・関節・神経の状態を把握します。 問診では、いつから痛むか、どの部分が痛むか、どのような時に痛むかなど、詳しくお話を伺います。視診や触診で、関節の変形の有無や軟骨のすり減り具合も確認します。

症状に合わせた最適な治療

痛みの原因が特定できたら、症状に応じて以下の治療を組み合わせます。 飲み薬や湿布で炎症を抑え、痛みを和らげます。ブロック注射で局所的な痛みに対処することもあります。物理療法(電気・温熱・超音波)で筋肉の緊張を緩和し、血流を改善します。 さらに、理学療法士による運動療法で、太ももやお尻の筋肉を鍛え、膝への負担を軽減します。ストレッチで柔軟性を保ち、膝へのストレスを減らすことも重要です。

生活動作・姿勢改善までサポート

痛みを繰り返さないよう、姿勢・座り方・生活の癖を一緒に見直します。 階段を上るときに「お尻で押し上げる」イメージを持つだけで、膝の負担が減ることもあります。負担の少ない動作や筋力づくりなど、「なぜ痛みが出たのか」まで一緒に考え、再発しにくい体づくりをめざします。

自分でできる対策とセルフケア

医療機関での治療と並行して、自宅でできる対策も効果的です。

太ももの筋肉を鍛える

椅子に浅く腰かけ、膝を伸ばして5秒キープする運動を1日10回程度行いましょう。 負担が少なく安全に筋肉を刺激できます。筋力がつくことで、階段動作での膝への負担が軽減されます。

ストレッチで柔軟性を保つ

太ももの前側・お尻・ふくらはぎを伸ばすストレッチを習慣にしてください。 筋肉が柔らかくなると、膝へのストレスが軽減され、痛みが和らぐことがあります。入浴後など、体が温まっているときに行うと効果的です。

体重をコントロールする

体重が増えると、階段動作での膝への負担がさらに増します。 適正体重を維持することは、膝の痛み予防に非常に重要です。自転車こぎや水中歩行は、膝に負担をかけずに運動できるためお勧めです。

痛みが強いときは安静に

痛みが強い場合は、無理をせず安静にしてください。 階段の使用を控え、エレベーターやエスカレーターを利用しましょう。運動後に熱感が強い場合は、氷嚢などで冷やすことも効果的です。基本的には、入浴やひざ掛けの使用などで温めたほうが痛みが軽くなります。

まとめ

階段の上り下りで膝が痛む原因は、平地歩行とは異なる特有の負荷にあります。 上りでは筋力不足、下りでは軟骨のすり減りや衝撃吸収機能の低下が主な原因です。変形性膝関節症や半月板損傷、膝蓋下脂肪体の問題など、さまざまな疾患が隠れている可能性があります。 歩くことが困難なほどの強い痛み、膝の腫れや熱感、長く続く痛み、膝の引っかかり感などがある場合は、早めに整形外科を受診してください。神保町整形外科では、痛みの原因を丁寧に評価し、症状に合わせた最適な治療を提供しています。 自宅でのセルフケアとして、太ももの筋肉を鍛える運動やストレッチ、体重管理も効果的です。 階段での膝の痛みを「年齢のせい」とあきらめず、どうぞお気軽にご相談ください。痛みを少しでも軽くし、また動ける日常を取り戻すことを全力でサポートいたします。 神保町整形外科では、あなたの膝の痛みに寄り添い、根本からの改善をめざします。小さな不調でもお気軽にお越しください。

階段で膝が痛む方へ

上り下りのどちらで痛むか、腫れや熱感があるかをメモしておくと、原因の確認に役立ちます。

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次の一歩

膝の痛みは早めに状態を確認することで、日常動作への負担を減らす工夫を考えやすくなります。

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著者情報

神保町整形外科 院長 板倉 剛  

経歴

  • 平成18年3月東海大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局
  • 慶應大学病院、静岡赤十字病院、慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター、台東区立台東病院、 竹川病院、石川島記念病院、古河総合病院勤務を経て平成29年4月神保町整形外科を開院
  • 慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程で脊髄再生に関する基礎研究に従事

資格

  • 医学博士
  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
  • 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
  • 再生医療認定医
  • 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本脊椎脊髄病学会
  • 日本脊髄障害医学会
  • 日本再生医療学会
 

投稿者:神保町整形外科

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