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労災でのリハビリ対応とは?通院の流れと整形外科での治療の進め方

2026.03.14

業務中や通勤中の怪我で労災保険を使う場合、どのように治療が進むのか不安に感じる方も多いでしょう。 労災保険は治療費が全額補償される制度ですが、手続きや通院の流れを正しく理解していないと、スムーズに治療を受けられないこともあります。 この記事では、労災でのリハビリ対応から通院の流れ、整形外科での治療の進め方まで、実際の現場で必要となる知識を詳しく解説します。療養補償給付の申請方法や症状固定までの期間、後遺障害申請まで、労災治療の全体像を分かりやすく紹介していきます。

労災保険とは?業務災害と通勤災害の違い

労災保険は、労働者が業務中や通勤中に負傷した場合に適用される補償制度です。 正社員だけでなく、パート、アルバイト、派遣社員など、すべての労働者が対象となります。ご自分の不注意や落ち度がある場合でも、業務と災害に相当程度の因果関係が認められれば労災保険が適用されます。 業務災害とは、労働者が働いている際に、その業務を原因として発生した災害を指します。骨折や捻挫、打撲などの怪我から、ぎっくり腰も労災保険を使って治療することが可能です。 一方、通勤災害は自宅と職場間の往復、ある職場から他の職場への移動中に発生した災害が対象です。移動の間にコンビニでの買い物や商業施設などのトイレ利用など、ちょっとした寄り道も通勤に含まれます。通勤の帰りに行う日用品購入、業務能力向上のための通学、選挙関係の行為、医療機関への通院も含まれます。 ただし、通常の経路から大きく外れている場合や、本来の通勤や業務との関連性が薄い行為の場合は労災保険が適用されませんので注意が必要です。

体外衝撃波治療のメリット・デメリット|受ける前に知っておきたいこと

体外衝撃波治療は、慢性的な痛みの改善を目的として行われる治療方法の一つです。本記事では、体外衝撃波治療のメリット・デメリットや、治療を受ける前に知っておきたいポイントについてわかりやすく解説します。

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労災指定医療機関での初回受診の流れ

労災で怪我をした場合、まず医療機関の受付窓口で必ず労災であることを伝えてください。

健康保険証を使わないことが重要

この際に、健康保険証を使用しての診察は受けないようご注意ください。労災保険扱いであるにもかかわらず健康保険などの保険証を使用されると、後日社会保険事務所または健康保険組合に取り消しの申請をし、改めて労災へ切り替えるという手続きが必要になり、煩雑となります。

初回受診時の書類準備

初回の受診時には、労災の申請や書類の準備が間に合わないことも多いです。労災の申請書類がご用意できない場合は、一時自費で全額お支払いいただきますが、書類がそろい次第確認のうえご返金されます。 労災指定医療機関であれば、全額給付され自己負担はありません。

労災申請の手続き

労災申請は、会社の労災担当者あるいは契約している社会保険労務士が行います。会社が労災申請をしない場合は、労働基準監督署から労災保険請求書を取り寄せ、会社から事業主の押印と労働保険番号の記入をしてもらう必要があります。 目撃者がいる場合や受傷日時が確定できるものは労災事故として認定されますが、腰痛や肩こりなどは因果関係が不明とされ労災と認定されないこともあります。

療養補償給付の内容と申請方法

療養補償給付は、被災労働者の傷病等に対する治療費及び関連費用が基本的に全額支給されます。

支給される内容

支給される内容には以下のようなものがあります。
  • 治療費
  • 薬代
  • 手術費用
  • 自宅療養の場合の看護費など
  • 入院中の看護費など
  • 入通院のための交通費・移送費
支給を受けられるかどうかは、傷病等の性質に応じて、一般的に治療効果があるとされているかどうかによって決まります。

労災指定医療機関での受給方法

労災指定医療機関で治療等を受けた場合、当該医療機関に労災請求用紙を提出すれば、無料で治療を受けることができます。これは5号請求と呼ばれます。 業務災害用は様式第5号、通勤災害用は様式第16号の3を使用します。公務員の方は「診療依頼書」をお持ちください。

労災指定医療機関以外での受給方法

労災指定医療機関以外の場合は、被災労働者が治療費全額を支払った上で、領収書などを労災申請の際に添付して治療費の請求を行い、請求人が指定する口座へ送金を受けます。これは7号請求と呼ばれます。

整形外科でのリハビリ治療の進め方

労災認定後、整形外科ではどのような治療が行われるのでしょうか?

急性期の処置(RICE処置)

怪我をしてすぐのタイミングであれば、まずはRICE処置と言われる「患部の出血や腫脹、疼痛を防ぐこと」を目的とした応急処置を行います。 RICE処置とは以下の頭文字をとった名称です。
  • R:Rest 患部を安静・休息する
  • I:Icing 氷やアイスバッグなどで患部を冷却する
  • C:Compression 弾性包帯やテーピング等で患部を圧迫する
  • E:Elevation 損傷した部位を心臓より高く挙上する

急性期を過ぎた後の治療

通院までに時間がかかり、急性期を過ぎた場合には、一般的な「捻挫・打撲」の処置と同様に、温熱療法や手技療法によるリハビリで早期回復を図っていきます。 ただし、自分の怪我はもう急性期を過ぎただろう、などと自己判断で決めつけてしまうのは危険です。症状によって対処方法は異なりますので、労災が認められた時点ですぐ医療機関に診てもらうことを強くお勧めします。

症状に合わせた治療方法の選択

急性期の炎症がある段階であれば、RICE処置に含まれるIcing、つまり寒冷療法が有効になります。しかし、怪我からある程度時間が経過していた場合には、筋肉の緊張緩和、関節の拘縮改善のために、今度は温熱療法が有効になってきます。 つまり怪我の状況によって、まったく逆ともいえる治療方法を選択する必要があるのです。この状況判断を正確に行うためには、勝手な自己判断をせず、プロである医療機関で正しく判断してもらうことが治癒への近道です。

通院交通費の補償条件と請求方法

労災保険では、傷病労働者が診療を受けるために電車、バス、自家用車等で医療機関へ赴くために要した費用について、政府の必要と認める範囲で通院交通費(移送費)の給付を受けることができます。

通院交通費が補償される条件

通院交通費が補償されるには、次の2つの条件を満たしている必要があります。 条件1:通院距離が片道2km以上であること 基本的に「被災労働者の居住地または勤務先から原則片道2km以上」の通院に対して、通院交通費が支給されます。ただし通院距離が2km未満であっても、傷病労働者の傷病の程度が重度であるなど、交通機関を利用しなければ、通院することが著しく困難だと認められる場合は、支給の対象となることがあります。 条件2:最寄りの労災指定医療機関へ通院すること 通院交通費の支給対象となる医療機関はどこでも認められるのではなく、「被災労働者の居住地または勤務先から最寄りの労災指定医療機関」である必要があります。

補償対象となる交通機関

補償が認められるのは、公共交通機関(電車・バスなど)と自家用車です。公共交通機関なら実際の運賃が支給されます。自家用車の場合は「1kmあたり37円として算出した金額」が支給されますので、実際の走行距離を把握しておく必要があります。 どちらの場合も請求時に領収書の提出は必要ありません。また、通院に介助者が必要、自力で自家用車を運転できない、といった事情があれば、本人だけでなく介助者や運転者の交通費も給付の対象となります。

タクシー利用について

原則として、タクシーによる通院は補償の対象外となります。タクシー代は他の交通手段と比べ高額であるため、傷病の程度や立地など、タクシーを利用しなければならない状況であったのか、医学的見地などからみて、その必要性を労基署が認めた場合のみ対象となります。 タクシー代を労災に請求する場合は必要書類に加え、タクシーの領収書の添付が必要です。

仕事をしながら通院する場合の注意点

仕事を続けながら通院している場合でも、その怪我や病気が「仕事が原因である」と認められれば、治療費や休業中の補償などを受けることができます。

療養中の休業補償

療養のために仕事を休み、賃金を受けていない場合に、その4日目から休業補償の給付を受けることができます。業務災害の場合は様式第8号、通勤災害の場合は様式第16号の6を使用します。

仕事と治療の両立

仕事をしながら通院する場合であっても、療養のために必要となる費用(治療費など)については、労災保険により、全額補償されます。中でも、労災指定医療機関を受診する場合は、労災保険への請求を指定医療機関が行ってくれるため、窓口での支払いも不要となります。 そのため、指定医療機関を受診することが難しい事情がない場合には、こちらを受診することをおすすめします。

症状固定とアフターケア制度について

労災による傷病が完治した、または症状が安定してそれ以上は治療による回復が見込めない「治癒」の状態になると、通院交通費の補償も終了します。労災用語では症状が残っていても「治ゆ」と表現されます。

アフターケア制度とは

ただし、脊髄損傷など20種類の傷病に関しては「アフターケア制度」を利用することにより、再発や後遺症に伴う新たな病気の発病を防ぐために必要な診療などを受けることができ、その際の通院交通費についても支給の対象となります。 「アフターケア制度」を利用するには、傷病が治癒した後の一定期間に、労働局で健康管理手帳の交付を申請することが必要です。申請を行うことができる期間は、対象となるケガや病気によって異なります。

後遺障害の申請

症状固定後に後遺障害(1級~14級)が残った場合、障害補償給付を受けられます。療養開始後1年6ヶ月を経過しても治癒せず、傷病等級(第1級~第3級)に該当する場合、傷病補償年金が支給されます。

交通事故との違いと早期受診の重要性

交通事故で受ける外傷は一般に、瞬間的に受ける衝撃が大きく、かつ予期しないタイミングで身構える間もなく受傷するため、一般的な怪我とは症状の出方が異なる場合がよくあります。

事故直後の症状について

交通事故に遭われた直後は、身体が興奮状態になりアドレナリンが出て、痛みを感じにくい傾向があります。特に目立った怪我や外傷がなくても、数日経過してから痛みやしびれなどの症状が急に現れたり、徐々に悪化傾向になることがあります。また、痛みが長引くことも少なくありません。 そのまま放っておくと、二次障害が併発する恐れもあります。こうしたことから、まずは早めに整形外科を受診することが勧められます。また、事故直後は特に症状がない場合も、念のために整形外科を受診することはとても重要です。

因果関係の証明

交通事故の症状は非典型的なものもあり、画像所見のみでは説明困難なものも多々あります。受傷後しばらく経過してからの受診の場合、事故との因果関係を証明または判別しにくくなることもあるため、この点からも早期受診が勧められます。 交通事故の怪我は、いつからどのあたりがどのように痛むのか、詳しいお話を診察時に医師までしっかりとお伝えいただくことが大切です。

まとめ

労災でのリハビリ対応は、適切な手続きと早期受診が重要です。 労災保険は業務災害と通勤災害の両方に対応し、治療費は全額補償されます。初回受診時には健康保険証を使わず、労災であることを必ず伝えてください。労災指定医療機関であれば、窓口での支払いも不要です。 整形外科でのリハビリ治療は、急性期にはRICE処置、その後は温熱療法や手技療法で回復を図ります。通院交通費も片道2km以上であれば補償の対象となり、公共交通機関や自家用車の利用が認められます。 仕事をしながらの通院も可能で、療養のために休む場合は4日目から休業補償が受けられます。症状固定後も、対象傷病であればアフターケア制度を利用できます。 労災治療は早期受診が因果関係の証明にも重要です。少しでも体に違和感を感じたら、すぐに整形外科を受診しましょう。 神保町整形外科は労災保険指定医療機関として、整形外科専門医による診断と国家資格を持つ理学療法士によるリハビリで、労災患者様の早期回復をサポートしています。神保町駅から徒歩2分、月曜から金曜の18時30分まで診療しており、お仕事帰りの通院にも便利です。

著者情報

神保町整形外科 院長 板倉 剛

経歴

資格

所属学会

 

投稿者:神保町整形外科

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