エムセラ(EMSELLA)とは何か?仕組みと特徴を解説
エムセラは、専用チェアに座るだけで骨盤底筋を強力に収縮させる非侵襲的医療機器です。2020年に発売され、アメリカ・EUを含む世界25か国で認可を取得しています。
エムセラが使用する技術は高密度焦点式電磁(ハイフェム®)です。この電磁エネルギーが骨盤底筋群に届き、自分の意思では不可能なレベルの「超極大筋収縮(スープラマキシマル収縮)」を引き起こします。
1回の施術(約30分)でケーゲル体操の約11,000倍相当の運動量を骨盤底筋に与えられると報告されています。服を着たまま座るだけで治療が完結し、ダウンタイムもありません。
神保町駅徒歩2分の整形外科 神保町整形外科
尿もれのお悩みを相談したい方へ
エムセラは、衣服を着たまま座って骨盤底筋にアプローチする自費リハビリの機器です。適応やお悩みの内容に合わせてご案内しますので、まずはご相談ください。
骨盤底筋が弱まるとどうなるか?
骨盤底筋は膀胱・子宮・直腸を下から支える筋肉群です。加齢・出産・閉経などによって弱まると、尿道括約筋のコントロールが低下し、尿失禁や頻尿が起こりやすくなります。
国立長寿医療研究センターによると、尿失禁は女性の4人に1人、経産婦では4割に及ぶと推計されています。しかし医療機関できちんと治療を受けている人はわずか3〜6%にすぎません。
骨盤底筋を効率よく鍛えることが、尿失禁改善の根本的なアプローチとなります。エムセラはその骨盤底筋トレーニングを、機械の力で確実に行える点が最大の特徴です。
腹圧性尿失禁とは何か?エムセラはどう効くか?
腹圧性尿失禁は、くしゃみ・咳・笑い・運動など腹圧がかかる動作で尿が漏れるタイプで、女性の尿失禁の中で最も頻度が高いとされています。骨盤底筋・尿道括約筋の弛緩が主な原因です。
エムセラのハイフェム®刺激は、弛緩した骨盤底筋を繰り返し強制収縮させることで筋力・筋持久力を回復させます。筋力が回復すると尿道括約筋のサポートが強まり、腹圧がかかっても尿が漏れにくくなります。
- 対象となる主な症状:くしゃみ・咳での尿漏れ、運動中の尿漏れ、重いものを持ったときの尿漏れ
- 主な原因:加齢・出産・閉経・肥満・運動不足による骨盤底筋の弛緩
- エムセラの作用:骨盤底筋の筋力強化 → 尿道括約筋サポートの回復
国立長寿医療研究センターは「軽い腹圧性尿失禁は骨盤底筋訓練で改善が期待できる」と説明しており、エムセラはその訓練を機械的に・確実に実施できる手段として位置づけられます。
切迫性尿失禁とは何か?エムセラはどう効くか?
切迫性尿失禁は、急に強い尿意が起こり我慢できずに漏れてしまうタイプです。膀胱が過剰に収縮する「過活動膀胱」が背景にあることが多く、日本国内では過活動膀胱の発生率が12.4%(男性14%・女性12%)と報告されています。
切迫性尿失禁に対するエムセラの作用は、骨盤底筋の強化を通じた膀胱コントロールの改善です。骨盤底筋が強くなると膀胱への圧力が安定し、過剰な収縮が起きにくくなります。
- 対象となる主な症状:急な尿意・我慢できない尿漏れ、冷水に触れたときの尿意、水の音を聞いたときの尿意
- 主な原因:過活動膀胱・ストレス・神経系の問題・加齢
- エムセラの作用:骨盤底筋強化 → 膀胱安定化 → 切迫感の軽減
日本脊髄障害医学会の査読誌に掲載された論文(2022年)によると、切迫性尿失禁の薬物療法ではβ3作動薬や抗コリン薬が用いられますが、骨盤底筋訓練との併用が推奨されています。エムセラはその骨盤底筋訓練を効率的に補完できます。
混合性尿失禁にも効くか?エムセラの適応範囲は?
腹圧性と切迫性が合わさった「混合性尿失禁」にも、エムセラは有効です。骨盤底筋全体を強化することで、両方のタイプに同時にアプローチできるためです。
エムセラの適応は尿失禁にとどまりません。以下の症状・目的にも対応しています。
- 腹圧性尿失禁:くしゃみ・咳・運動時の尿漏れ
- 切迫性尿失禁:急な尿意・我慢できない尿漏れ
- 混合性尿失禁:上記2タイプの合併
- 産後の骨盤底筋弛緩:膣のゆるみ・産後尿漏れ
- 性的満足度の低下:臨床データで85%が向上を実感
- 骨盤底筋の予防的強化:将来の尿失禁予防
一方で、溢流性尿失禁(尿道閉塞による尿漏れ)や機能性尿失禁(認知症・運動障害による尿漏れ)はエムセラの適応外です。これらは骨盤底筋の問題ではなく、別の原因によるためです。受診前に尿失禁のタイプを医師に確認することが重要です。
エムセラの効果はどのくらいか?臨床データを確認
エムセラの臨床データでは、1クール6回の施術後に95%の患者が尿漏れ改善を実感し、吸水パッドの使用量が75%減少したと報告されています。
主な臨床データをまとめると以下のとおりです。
- 尿漏れ改善実感率:95%(1クール6回施術後)
- 吸水パッド使用量の減少:75%減
- 性的満足度向上:85%が向上を実感
- 効果の持続期間:1クール終了後6か月以上
効果が出始めるタイミングは個人差があり、1回目から実感する方もいますが、基本的には1クール(6回)の完了後に最大効果が現れます。施術後も月1回程度の維持療法を続けることで、効果をより長く保てます。
骨盤底筋へのアプローチをご相談ください
当院ではエムセラを用いた自費リハビリに対応しています。効果の現れ方には個人差があり、症状によっては泌尿器科・婦人科での検査をおすすめする場合もあります。
ケーゲル体操との違いは?
ケーゲル体操は自力で骨盤底筋を収縮させる運動ですが、「どこを動かすかわからない」「収縮が弱い」という問題が多くの方に見られます。エムセラは機械が骨盤底筋を強制的に収縮させるため、正しい筋肉に確実に負荷をかけられます。
1回の施術でケーゲル体操の約11,000倍の運動量を実現できる点が、エムセラの最大の優位性です。自主トレが続かない方・効果が出にくかった方に特に適しています。
エムセラの禁忌・受けられない方は?
エムセラは電磁刺激を使用するため、体内に金属・電子機器が入っている方は受けられません。事前に医師への申告が必須です。
主な禁忌事項は以下のとおりです。
- ペースメーカー・除細動器を使用している方
- 神経刺激装置・薬注ポンプなどの電子インプラントがある方
- 金属インプラント(大腿骨頭置換など)がある方
- 避妊器具(IUD)を使用している方
- 産後3か月以内の方
- 未成年・骨端閉鎖が完了していない方
- 悪性腫瘍(治療中)の方
- てんかん・心臓・肺機能障害がある方
- 出血状態・血液凝固障害がある方
上記に該当しない場合でも、妊娠中の方や重篤な疾患がある方は医師への相談が必要です。整形外科・泌尿器科・産婦人科など、エムセラを導入しているクリニックで事前診察を受けてから施術を開始してください。
エムセラの施術回数・費用・流れはどうなっているか?
標準的なエムセラのコースは、週1〜2回・計6回(1クール)で、1回の施術時間は約30分です。費用はクリニックによって異なりますが、1回あたり約8,800〜15,000円、6回コースで約60,000〜79,200円が目安です。
施術の流れ
- 初診・問診:尿失禁のタイプ・禁忌事項を医師が確認する
- 施術開始:服を着たまま専用チェアに座り、電磁刺激の強度を調整する
- 施術中:骨盤底筋の収縮感(ピリピリ感)を感じながら約30分間座る
- 施術後:ダウンタイムなし・すぐに日常生活に戻れる
- 1クール完了後:効果を確認し、必要に応じて月1回の維持療法へ移行する
費用の目安(参考)
- 1回(30分):約8,800〜15,000円
- 6回コース(1クール):約33,000〜79,200円
- 初回体験(10〜15分):約3,300〜5,000円
エムセラは日本では未承認機器であり、保険適用外の自由診療です(2020年発売時点)。費用はクリニックごとに設定が異なるため、事前に確認してください。
エムセラと他の尿失禁治療法との違いは?
尿失禁の治療法には骨盤底筋訓練・薬物療法・手術・エムセラがあり、タイプと重症度によって選択が異なります。
- 骨盤底筋訓練(ケーゲル体操):軽症の腹圧性尿失禁に有効。自力で継続が必要で効果に個人差が大きい
- 薬物療法:切迫性尿失禁にはβ3作動薬・抗コリン薬が有効。副作用(口渇など)に注意が必要
- 手術(TVT・TOT):中等症〜重症の腹圧性尿失禁に適応。体への負担があり入院が必要な場合もある
- エムセラ:腹圧性・切迫性・混合性すべてに対応。非侵襲・ダウンタイムなし・服を着たまま施術可能
国立長寿医療研究センターは「切迫性尿失禁の治療には薬物療法が有効で、骨盤底筋訓練・膀胱訓練などの行動療法を併用する」と説明しています。エムセラはその行動療法(骨盤底筋訓練)を機械的に補完する位置づけです。
重症例や薬物療法が必要なケースでは、泌尿器科・婦人科での診察を優先してください。エムセラは軽症〜中等症の尿失禁、または保存療法の一環として特に有効です。
神保町整形外科でエムセラ・骨盤底筋治療について相談するには?
神保町整形外科(東京都千代田区神田神保町)は、整形外科専門医による診療とリハビリテーションを組み合わせた治療を提供しています。骨盤底筋の問題や尿失禁でお悩みの方は、まず医師への相談から始めることをおすすめします。
当院は神保町駅A7出口から徒歩約2分の好立地にあり、平日毎日18時30分まで診療しています。仕事帰りや昼休みにも通院しやすい環境です。オンライン診療(初診対応)にも対応しており、まずはご相談ください。
よくある質問
エムセラは腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁のどちらに効きますか?
エムセラは腹圧性・切迫性・混合性尿失禁の3タイプすべてに有効です。骨盤底筋全体を強化することで、どちらのタイプにもアプローチできます。ただし溢流性・機能性尿失禁は適応外です。
エムセラは何回受ければ効果が出ますか?
標準は週1〜2回・計6回(1クール)で、1クール終了後に最大効果が現れます。軽症の方は1回目から効果を実感することもあります。効果は施術後6か月以上持続するとされています。
エムセラの施術中に痛みはありますか?
痛みはなく、骨盤底筋が収縮するピリピリとした感覚があります。強度は調整可能で、違和感のないレベルから開始できます。施術後に一時的な筋肉痛が起こることがあります。
エムセラは保険が使えますか?
エムセラは日本では未承認機器のため、保険適用外の自由診療です。費用は1回あたり約8,800〜15,000円、6回コースで約33,000〜79,200円が目安です(クリニックにより異なります)。
エムセラを受けられない人はどんな方ですか?
ペースメーカー・金属インプラント・電子インプラントがある方、産後3か月以内の方、未成年の方は受けられません。悪性腫瘍治療中・てんかん・心肺機能障害がある方も禁忌です。
エムセラはケーゲル体操と何が違いますか?
エムセラは1回の施術でケーゲル体操の約11,000倍の運動量を骨盤底筋に与えられます。自力では正しく収縮させにくい骨盤底筋を、機械が確実に鍛えるため効果が安定しています。
エムセラ施術後にすぐ日常生活に戻れますか?
はい、ダウンタイムはなく施術直後から日常生活に戻れます。ただし施術後に一時的な尿漏れが起こることがあります。これは筋肉痛に似た一時的な現象で、心配は不要です。
男性でもエムセラを受けられますか?
エムセラは男性にも使用可能です。前立腺肥大症に伴う切迫性尿失禁など、男性の尿失禁にも骨盤底筋強化が有効とされています。ただし禁忌事項の確認が必要です。
エムセラの効果はどのくらい持続しますか?
1クール6回の施術後、効果は6か月以上持続するとされています。より長く効果を維持するために、月1回程度の維持療法を継続することが推奨されています。
エムセラは整形外科でも相談できますか?
骨盤底筋は整形外科・リハビリテーション科の専門領域にも関わるため、整形外科での相談も可能です。尿失禁のタイプや重症度によっては泌尿器科・婦人科との連携が必要な場合もあります。
結論
エムセラは腹圧性・切迫性・混合性尿失禁のいずれにも有効で、95%の患者が1クール6回で改善を実感しています。軽症〜中等症の尿失禁で、手術や薬物療法を避けたい方に特に適した選択肢です。まず医師に尿失禁のタイプを確認し、禁忌事項がなければエムセラを検討してください。重症例や薬物療法が必要なケースは泌尿器科・婦人科との併診をおすすめします。
神保町整形外科(神保町駅徒歩2分)
尿もれや骨盤底筋のお悩みのご相談を承っています。エムセラを用いた自費リハビリについて、適応や進め方をご説明します。お仕事帰りにも通院いただけます。
〒101-0051 千代田区神田神保町1-29 すずらんビル2F/診療:月〜金/休診:土・日・祝
著者情報
神保町整形外科 院長 板倉 剛
経歴
- 平成18年3月東海大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局
- 慶應大学病院、静岡赤十字病院、慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター、台東区立台東病院、 竹川病院、石川島記念病院、古河総合病院勤務を経て平成29年4月神保町整形外科を開院
- 慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程で脊髄再生に関する基礎研究に従事
資格
- 医学博士
- 日本整形外科学会専門医
- 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
- 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
- 再生医療認定医
- 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
所属学会
- 日本整形外科学会
- 日本脊椎脊髄病学会
- 日本脊髄障害医学会
- 日本再生医療学会