肩と腕のしびれが同時に起こるとはどういう状態か?
肩と腕のしびれが同時に起こる状態とは、首から肩・腕にかけて走る神経や血管が何らかの原因で障害を受けているサインです。単なる疲れや一時的な血行不良と混同されやすいですが、継続するしびれは重篤な疾患が隠れている可能性があります。
しびれの感覚は「ジンジンする」「ビリビリする」「正座後のような感覚」などと表現されます。痛みを伴う場合や、手指の動かしにくさが加わる場合は特に注意が必要です。
本記事では、肩と腕のしびれを同時に引き起こす7つの主な疾患、症状の見分け方、セルフケアの方法、そして受診すべきタイミングまでを整形外科専門医の立場から解説します。
神保町駅徒歩2分の整形外科 神保町整形外科
肩や腕のしびれが気になる方へ
しびれの原因はさまざまで、頚椎など神経の関わる疾患のこともあります。気になる症状が続く場合は、早めの相談が一般的にすすめられます。まずはご相談ください。
なぜ肩と腕に同時にしびれが起こるのか?メカニズムを解説
肩と腕のしびれが同時に起こる主な理由は、首(頸椎)から出た神経根が肩・腕の広い範囲を支配しているためです。頸椎から分岐した神経は腕神経叢を形成し、肩から指先まで感覚・運動を担います。
神経の圧迫によるしびれ
頸椎の椎間板や骨棘(こつきょく)が神経根を圧迫すると、その神経が支配する肩・腕・手指に一致したしびれや痛みが生じます。首を後ろに反らすと症状が悪化するのが特徴で、頸椎由来の神経圧迫を強く示唆します。
デスクワークやスマートフォンの長時間使用による「ストレートネック(頸椎前弯の消失)」は、頸椎への力学的負荷を増大させ、神経圧迫を悪化させる要因となります。
血行不良によるしびれ
肩や腕の血行不良は、筋肉の緊張・姿勢不良・運動不足が主な原因です。血流が滞ると組織への酸素供給が不足し、じんわりとしたしびれや冷感を伴う症状が現れます。朝方や夜間に症状が強くなる傾向があります。
神経圧迫と血行不良は単独で、あるいは複合的に作用してしびれを引き起こします。どちらが主因かを見極めることが、適切な治療選択につながります。
肩と腕のしびれを引き起こす7つの疾患とは?
肩と腕のしびれの原因となる主な疾患は7つあり、それぞれ症状の特徴・好発年齢・治療法が異なります。頸椎椎間板ヘルニア・頸椎症・五十肩(肩関節周囲炎)などが代表的な疾患として紹介されています。
①頸椎椎間板ヘルニア
首の骨(頸椎)の間にある椎間板が飛び出し、神経根や脊髄を圧迫する疾患です。30〜50代のデスクワーカーに多く、片側の肩から腕・指先にかけての鋭い痛みとしびれが特徴です。首を後屈すると症状が増悪します。
治療の第一選択は保存療法(消炎鎮痛薬・神経障害性疼痛治療薬・頸椎固定・リハビリテーション)です。保存療法で改善しない場合は手術を検討します。
②頸椎症性神経根症
加齢による頸椎の変形(骨棘形成・椎間板の変性)が神経根を圧迫する疾患です。片側性の肩甲骨周囲・腕の痛みとしびれが主症状で、上肢の腱反射低下や筋力低下を伴うこともあります。
頸部後屈で症状が誘発・増悪する場合に本疾患を積極的に疑います。治療は内服(NSAIDs・プレガバリンなど)と姿勢改善のための運動療法が中心です。多くの場合、数か月以内に症状が改善します。
③頸椎症性脊髄症
頸椎症が進行し、脊髄本幹が圧迫される疾患です。両側の手足のしびれ・巧緻運動障害(箸が使いにくい・ボタンがかけにくい)・歩行障害が特徴で、神経根症より重篤です。
症状が進行する場合は手術(頸椎除圧術)が必要になることがあります。両手足のしびれや歩行障害を伴う場合は、早急に整形外科を受診してください。
④胸郭出口症候群
首から腕に走る神経(腕神経叢)と血管が、鎖骨と第1肋骨の間や筋肉の間で圧迫される疾患です。手を挙げる作業が多い方・なで肩の方・スマートフォンを長時間使用する方に多く見られます。
腕全体のしびれ・だるさ・冷感が特徴で、腕を挙上すると症状が悪化します。治療は姿勢改善・肩甲骨周囲筋の強化訓練が中心です。
⑤五十肩(肩関節周囲炎)
肩関節を包む関節包に炎症が起きる疾患で、50歳前後に多く発症します。夜間痛が強く、腕を挙げる動作でしびれを伴うことがあります。ただし、しびれが主症状の場合は頸椎疾患との鑑別が必要です。
肩を動かすと痛みが変化する場合は五十肩、首を動かすと肩・腕の症状が変化する場合は頸椎疾患を疑います。
⑥後縦靱帯骨化症(OPLL)
脊柱管内の後縦靱帯が骨化し、脊髄・神経根を圧迫する疾患です。日本人に比較的多く、厚生労働省が指定難病(指定難病69番)に定めています。両側の手足のしびれや巧緻運動障害が現れます。
軽症例は保存療法、進行例や脊髄症状が強い例は手術が必要です。MRI検査で診断が確定します。
⑦胸椎・頸椎の腫瘍・感染症(見逃してはならない疾患)
まれですが、脊椎腫瘍や脊椎感染症(化膿性脊椎炎・結核性脊椎炎)が肩・腕のしびれを引き起こすことがあります。安静時痛・夜間痛・発熱・体重減少を伴う場合は、これらの疾患を除外するために早急な精査が必要です。
MRIや血液検査(炎症反応・腫瘍マーカー)で診断します。見逃すと重篤な神経障害に至るリスクがあるため、上記の随伴症状がある場合は速やかに受診してください。
肩と腕のしびれ、どの疾患か見分けるポイントは?
肩と腕のしびれの原因疾患を見分けるには、「しびれの部位」「首・肩の動作との関係」「両側か片側か」の3点が重要な鑑別ポイントです。
しびれの部位で疾患を推定する
頸椎の神経根は、障害された高位(レベル)によってしびれが出る部位が異なります。
- 親指・人差し指のしびれ:C6神経根(第6頸椎)の障害を示唆
- 中指のしびれ:C7神経根(第7頸椎)の障害を示唆
- 小指・薬指のしびれ:C8神経根(第8頸椎)または胸郭出口症候群を示唆
- 肩甲骨周囲〜上腕外側のしびれ:C5神経根(第5頸椎)の障害を示唆
しびれの分布を把握しておくと、受診時に医師への情報提供がスムーズになります。
首・肩の動作との関係で鑑別する
- 首を後ろに反らすと悪化:頸椎椎間板ヘルニア・頸椎症性神経根症を強く示唆
- 腕を挙げると悪化:胸郭出口症候群・五十肩を示唆
- 肩を動かしても症状が変わらない:頸椎疾患の可能性が高い
- 両手足に同時にしびれ・歩行障害:頸椎症性脊髄症・後縦靱帯骨化症を示唆
緊急受診が必要なしびれのサイン
以下の症状を伴う場合は、脳卒中や脊髄の重篤な障害の可能性があるため、直ちに救急外来または脳神経外科・整形外科を受診してください。
- 突然の強いしびれ・麻痺(発症が数分以内)
- 顔のしびれ・ろれつが回らない・言葉が出ない
- 同側の腕と足に同時にしびれ(脳梗塞・脳出血を示唆)
- 排尿・排便障害を伴う(脊髄の重篤な障害を示唆)
整形外科ではどのような検査・治療が行われるか?
整形外科では、問診・神経学的診察・画像検査(X線・MRI)を組み合わせて原因疾患を特定し、保存療法から手術まで段階的に治療を行います。
診断の流れ
- 問診:しびれの部位・発症時期・増悪因子・随伴症状を確認
- 神経学的診察:腱反射・筋力・感覚検査、スパーリングテスト(頸部後屈・側屈で症状誘発)
- X線検査:頸椎の骨棘・椎間板高の減少・アライメント異常を確認
- MRI検査:椎間板ヘルニア・神経根圧迫・脊髄圧迫・後縦靱帯骨化の程度を評価
保存療法の内容
多くの頸椎疾患は保存療法で改善します。主な治療内容は以下のとおりです。
- 薬物療法:NSAIDs(ロキソプロフェンなど)・神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン・ミロガバリン)・筋弛緩薬
- 頸椎固定(頸椎カラー):急性期の患部安静と症状増悪防止
- 理学療法・運動療法:姿勢矯正・頸椎周囲筋の強化・ストレッチ・牽引療法
- 物理療法:低周波治療・マイクロ波・ホットパックによる血行改善・筋緊張緩和
神保町整形外科では、10名以上の理学療法士が常時在籍し、個々の症状に応じた運動療法を提供しています。自動牽引装置・低周波治療器・マイクロ波治療器・ウォーターベッド型マッサージ器など充実した設備で、頸椎疾患のリハビリテーションに対応しています。
しびれの原因を、診察と検査で確認します
当院では整形外科専門医が診察し、レントゲンなどの検査で状態を確認します。症状に応じて、薬物療法やリハビリ、必要に応じた専門機関へのご紹介にも対応します。
手術療法が検討される場合
以下の場合は手術(頸椎前方除圧固定術・椎弓形成術など)が検討されます。
- 保存療法を3〜6か月継続しても症状が改善しない
- 進行性の筋力低下・麻痺がある
- 脊髄症症状(歩行障害・巧緻運動障害)が明らか
- 排尿・排便障害を伴う
自宅でできる肩と腕のしびれの対処法は?
自宅でできる対処法として、姿勢改善・頸部・肩甲骨周囲のストレッチ・生活習慣の見直しが有効です。ただし、強い痛みや麻痺を伴う場合はセルフケアより先に受診を優先してください。
姿勢改善のポイント
- モニターの高さを目線と同じか少し下に設定し、頸椎の前屈負荷を減らす
- スマートフォンは顔の高さまで持ち上げて使用し、うつむき姿勢を避ける
- デスクワーク中は1時間に1回、立ち上がって肩・首を動かす
- 就寝時の枕の高さは頸椎の自然な前弯を保てる高さに調整する
頸部・肩甲骨のストレッチ
以下のストレッチは、頸椎周囲の筋緊張を緩和し、血行を改善する効果があります。痛みが増す場合は直ちに中止してください。
- 頸部側屈ストレッチ:椅子に座り、右手を頭の左側に当てて右耳を右肩に近づけるように10〜15秒保持。左右各3回。
- 肩甲骨寄せ運動:両肩を後ろに引いて肩甲骨を寄せ、5秒保持して緩める。10回繰り返す。
- 胸を開くストレッチ:両手を背中で組み、胸を前に張りながら肩甲骨を寄せる。10〜15秒保持。
これらのストレッチは、胸郭出口症候群や頸椎症の予防・症状緩和に有用です。ただし、急性期(発症直後で炎症が強い時期)は安静を優先し、ストレッチは症状が落ち着いてから開始してください。
日常生活での注意点
- 重い荷物の片側持ちは肩・頸椎への負荷を増大させるため避ける
- 腕枕・うつぶせ寝は神経・血管を圧迫するため控える
- 寒冷刺激は筋緊張を高めるため、首・肩を温めて血行を促進する
何科を受診すべきか?受診のタイミングと選び方
肩と腕のしびれには、まず整形外科の受診が推奨されます。頸椎・神経根・末梢神経・肩関節の疾患を総合的に診断・治療できるのが整形外科の強みです。
整形外科を受診すべき症状
- 首・肩・腕のしびれ・痛みが2週間以上継続している
- 首を動かすと肩・腕のしびれが増悪する
- 手指の握力低下・巧緻運動障害がある
- 腕を挙げると症状が変化する(胸郭出口症候群の疑い)
脳神経外科・神経内科を受診すべき症状
- 突然発症の強いしびれ・麻痺(脳卒中の疑い)
- 顔のしびれ・ろれつ障害・視力障害を伴う
- 同側の腕と足に同時にしびれがある
神保町整形外科へのアクセス
神保町整形外科は、東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄三田線・新宿線「神保町」駅A7出口から徒歩約2分の好立地にあります。平日毎日18時30分まで診療しており、昼休みや仕事帰りにも受診しやすい環境です。オンライン診療(初診対応)にも対応しており、遠方の方や来院が難しい方もご相談いただけます。
整形外科専門医(日本整形外科学会専門医・脊椎脊髄病医)による診察と、10名以上の理学療法士によるリハビリテーションを組み合わせた治療を提供しています。肩・腕のしびれでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
神保町整形外科へのご相談はこちら
肩と腕のしびれが2週間以上続く場合や、首を動かすと症状が変化する場合は、早めの受診が大切です。神保町整形外科では、整形外科専門医による丁寧な診察・画像診断と、理学療法士による個別リハビリテーションを組み合わせて、一人ひとりの症状に合った治療を提供しています。神保町駅A7出口から徒歩約2分、平日18時30分まで診療・オンライン診療(初診)対応。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
肩と腕のしびれは何科を受診すればよいですか?
まず整形外科の受診をおすすめします。頸椎・神経根・肩関節の疾患を総合的に診断できます。突然発症・顔のしびれ・ろれつ障害を伴う場合は脳神経外科へ。
肩と腕のしびれで最も多い原因疾患は何ですか?
頸椎椎間板ヘルニアと頸椎症性神経根症が最多です。加齢やデスクワーク・スマートフォンの長時間使用による頸椎への負荷が主な原因です。
しびれが片側だけの場合と両側の場合で原因は違いますか?
片側のしびれは神経根症(ヘルニア・頸椎症)が多く、両側は脊髄症・後縦靱帯骨化症・脳疾患の可能性があります。両側の場合は早急な受診が必要です。
首を後ろに反らすと肩・腕のしびれが悪化します。何が原因ですか?
頸椎椎間板ヘルニアまたは頸椎症性神経根症の可能性が高いです。頸部後屈で椎間孔が狭くなり、神経根への圧迫が増強するためです。整形外科でMRI検査を受けてください。
肩と腕のしびれは自然に治りますか?
頸椎神経根症の多くは保存療法(内服・安静・リハビリ)で数か月以内に改善します。ただし、筋力低下・歩行障害・排尿障害を伴う場合は自然回復を待たず受診が必要です。
五十肩と頸椎ヘルニアのしびれはどう見分けますか?
首を動かすと症状が変化する場合は頸椎疾患、肩を動かすと痛みが変化する場合は五十肩の可能性が高いです。指先のしびれを伴う場合は頸椎疾患を強く示唆します。
胸郭出口症候群はどんな人に多いですか?
なで肩・首が長い体型の方、腕を挙げる作業が多い方、スマートフォンを長時間使用する方に多い疾患です。腕を挙げると症状が悪化するのが特徴です。
肩と腕のしびれに対してリハビリテーションは有効ですか?
姿勢改善・頸椎周囲筋強化・ストレッチを中心とした運動療法は有効です。特に頸椎症性神経根症では、不良姿勢(ヘッドフォワード)の改善が症状緩和に重要です。
しびれが続く場合、MRI検査は必要ですか?
2週間以上しびれが続く場合や筋力低下を伴う場合はMRI検査が推奨されます。椎間板ヘルニア・神経根圧迫・脊髄圧迫の程度を正確に評価できます。
神保町整形外科ではオンライン診療を受けられますか?
初診からオンライン診療に対応しています。来院が難しい場合や遠方の方もご相談いただけます。詳細はクリニックまでお問い合わせください。
結論
肩と腕のしびれが同時に起こる場合、頸椎椎間板ヘルニア・頸椎症性神経根症・胸郭出口症候群など7つの疾患が主な原因です。しびれの部位・首の動作との関係・片側か両側かを確認し、2週間以上続く場合や筋力低下・歩行障害を伴う場合は整形外科を早めに受診してください。突然発症・顔のしびれ・ろれつ障害を伴う場合は脳卒中の可能性があり、直ちに救急受診が必要です。
神保町整形外科(神保町駅徒歩2分)
肩や腕のしびれのご相談を承っています。整形外科専門医が診察・検査で原因を確認し、症状に合わせた治療やリハビリをご提案します。お仕事帰りにも通院いただけます。
〒101-0051 千代田区神田神保町1-29 すずらんビル2F/診療:月〜金/休診:土・日・祝
著者情報
神保町整形外科 院長 板倉 剛
経歴
- 平成18年3月東海大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局
- 慶應大学病院、静岡赤十字病院、慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター、台東区立台東病院、 竹川病院、石川島記念病院、古河総合病院勤務を経て平成29年4月神保町整形外科を開院
- 慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程で脊髄再生に関する基礎研究に従事
資格
- 医学博士
- 日本整形外科学会専門医
- 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
- 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
- 再生医療認定医
- 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
所属学会
- 日本整形外科学会
- 日本脊椎脊髄病学会
- 日本脊髄障害医学会
- 日本再生医療学会