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座ると腰が痛いのはなぜ?原因と正しい対処法をわかりやすく解説

2025.12.20

座ると腰が痛くなる・・・その悩み、実は多くの方が抱えています

デスクワークやリモートワークが増えた現代。 「座っているだけなのに、なぜこんなに腰が痛いの?」と感じたことはありませんか?長時間座り続けることで、腰に鈍い痛みや重だるさを感じる方は少なくありません。実は、座る姿勢は立っている時よりも腰への負担が大きく、椎間板への圧力も増加することが研究で明らかになっています。 この記事では、座ると腰が痛くなる原因とその対処法について、整形外科医の視点からわかりやすく解説します。  

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なぜ座ると腰が痛くなるのか?4つの主な原因

座位での腰痛には、いくつかの明確な原因があります。 それぞれを理解することで、適切な対策が見えてきます。

姿勢の崩れと骨盤の後傾

長時間座っていると、背中が丸くなりやすくなります。 この時、骨盤は後ろに傾き、腰椎の自然なカーブ(S字カーブ)が失われてしまいます。本来、人間の腰椎はS字状にカーブすることで、歩行時の衝撃を吸収し、脳への負担を軽減する仕組みになっています。しかし、座位では骨盤が後傾することでこのカーブが崩れ、椎間板や周囲の筋肉に過度な負担がかかります。 特に前かがみの姿勢や猫背は、腰椎への圧力をさらに高める要因となります。

血流の悪化と筋肉の硬直

同じ姿勢を長時間続けると、血液の循環が悪くなります。 特に腰周りの筋肉は、座位を保つために常に緊張状態にあり、血流が滞りやすい部位です。血流が悪くなると筋肉に十分な酸素や栄養が届かず、筋肉が硬くなってしまいます。硬くなった筋肉はさらに血管を圧迫し、悪循環が生まれます。 この状態が続くと、腰の重だるさや鈍い痛みとして現れるのです。

椎間板への負担増加

椎間板は、背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす軟骨組織です。 実は、立っている時よりも座っている時の方が、椎間板にかかる圧力は大きくなります。特に前屈みの姿勢では、椎間板への負荷がさらに増大し、長期的には椎間板の変形や神経の圧迫につながる可能性があります。椎間板への過度な負担は、腰痛だけでなく、下肢のしびれや痛みを引き起こすこともあります。

体幹筋力の低下

座ることの多い生活を続けていると、体幹の筋力が低下しやすくなります。 研究によれば、腰痛を抱える方は痛みのない方に比べて体幹筋力が約20%低下しており、痛みの程度が大きいほど筋の持久力も低いことが分かっています。体幹の筋肉は、腰椎を支え、姿勢を保つために重要な役割を担っています。筋力が低下すると、骨や椎間板への負担が増え、腰痛が慢性化しやすくなります。

座位での腰痛を改善する具体的な対処法

原因が分かれば、対策も見えてきます。 日常生活で実践できる具体的な方法をご紹介します。

正しい座り方を身につける

腰痛対策の基本は、正しい座り方を習慣化することです。 椅子に座る時は、まず前かがみの状態でお尻を座面の奥までしっかり入れます。その後、あごを引いて背筋を伸ばし、骨盤を立てることを意識しましょう。骨盤を立てるとは、骨盤と背骨が直角になる位置を保つことです。この姿勢では、腰椎の自然なS字カーブが維持され、椎間板への負担が軽減されます。 また、かかとを床に完全につけることで、姿勢が安定しやすくなります。

定期的に立ち上がり、体を動かす

どんなに正しい姿勢でも、長時間同じ姿勢を続けることは避けるべきです。 30分から1時間に一度は立ち上がり、軽く体を動かすことをおすすめします。立ち上がることで骨盤の位置がリセットされ、血流も改善されます。可能であれば、軽いストレッチや歩行を取り入れると、さらに効果的です。 座位時間を減らすこと自体が、腰痛の悪化を防ぐ有効な方法であることが研究でも示されています。

効果的なストレッチを取り入れる

座りながらできる簡単なストレッチも効果的です。 「背伸びストレッチ」は、椅子に座ったまま両手を頭の上で組み、天井に向かって伸ばす動作です。この動作で背筋が伸び、血流が促進され、腰周りの負担が軽減されます。深呼吸をしながらゆっくり行うと、リラックス効果も得られます。 また、「腰回しストレッチ」も有効です。椅子に座り、両手を腰に当てて上半身を左右にゆっくり回転させることで、固まった腰周りの筋肉がほぐれます。

腰サポートクッションの活用

腰への負担を軽減するには、適切なクッションの使用も検討しましょう。 低反発クッションは体の形状に沿って沈み込むため、骨盤や腰が自然な位置に保たれやすくなります。また、椅子の背もたれに固定できるランバーサポート(腰部支持クッション)は、腰椎のカーブを維持し、理想的な姿勢をサポートしてくれます。通気性の良いメッシュ素材のクッションは、長時間座っても蒸れにくく快適です。 尾てい骨部分がカットされたドーナツ型クッションも、尾骨への圧力を和らげ、腰全体の負担を分散させる効果があります。

椅子と机の環境を見直すことも重要です

どれだけ姿勢に気をつけても、椅子や机の高さが合っていなければ効果は半減します。

椅子の高さ調整

椅子の高さは、座った時に足の裏全体が床にしっかりつく高さが理想です。 膝の角度が90度程度になるように調整しましょう。椅子が高すぎると足が浮いてしまい、骨盤が不安定になります。逆に低すぎると膝が上がりすぎて、腰への負担が増えてしまいます。

机との距離と高さ

机と椅子の間が開きすぎていると、前傾姿勢になりやすく腰に負担がかかります。 机の高さは、座った時に肘が90度程度の角度になる高さが目安です。キーボードやマウスはできるだけ手元に引き寄せ、背筋を伸ばした状態で作業できるようにしましょう。後付けのキーボードスライダーを使うと、作業環境の改善に役立ちます。

背もたれの活用方法

背もたれは、身体の上体を支えて姿勢を安定させるためのものです。 リクライニング機能を使う際は、傾斜角度を90度から前後10度程度で調節するのが望ましいとされています。背もたれの傾斜を強めにしすぎると、骨盤を立てる姿勢が崩れてしまい、かえって疲労の原因となることがあります。

慢性的な腰痛には専門的な治療が必要です

セルフケアを続けても改善しない場合は、医療機関での診察をおすすめします。

整形外科での診察と検査

神保町整形外科では、腰痛の原因を丁寧に評価します。 レントゲンや超音波検査を必要に応じて行い、症状の背景にある筋肉・関節・神経の状態を把握します。痛みの原因が椎間板の問題なのか、筋肉の緊張なのか、姿勢の乱れなのか、それとも複数の要因が組み合わさっているのかを見極めることが重要です。

症状に合わせた治療の組み合わせ

当院では、症状に応じて最適な治療を組み合わせます。 飲み薬や湿布で痛みを抑えながら、物理療法(電気・温熱・超音波)で筋肉の緊張を緩和します。必要に応じてブロック注射を行い、痛みの悪循環を断ち切ることもあります。さらに、理学療法士による運動療法やストレッチで、再発しにくい体づくりを目指します。 痛みを抑えるだけでなく、「なぜ痛みが出たのか」まで一緒に見直していくことが大切です。

生活習慣の見直しとサポート

治療と並行して、生活動作や姿勢の改善もサポートします。 座り方・立ち方・歩き方など、日常の癖を一緒に見直すことで、痛みを繰り返さない身体づくりを目指します。デスクワークが多い方には、職場での座り方や休憩の取り方についても具体的にアドバイスします。

まとめ:座ると腰が痛い症状は改善できます

座ると腰が痛くなる原因は、姿勢の崩れ、血流の悪化、椎間板への負担、体幹筋力の低下など、複数の要因が関わっています。 正しい座り方を身につけ、定期的に体を動かし、適切な環境を整えることで、多くの場合は症状の改善が期待できます。ただし、セルフケアを続けても痛みが改善しない場合や、痛みが強くなる場合は、専門的な治療が必要です。 神保町整形外科では、腰痛の原因を丁寧に評価し、一人ひとりの生活に合わせた治療を提供しています。首・肩・腰の痛みは、その人の生活そのものを変えてしまうことがあります。症状を年齢のせいとあきらめず、どうかご相談ください。 痛みを少しでも軽くし、また動ける日常を取り戻すことを全力でサポートいたします。 小さな不調でもお気軽にお越しください。

著者情報

神保町整形外科 院長 板倉 剛

経歴

資格

所属学会

投稿者:神保町整形外科

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