2026.09.22
「症状固定と言われたのに、まだ痛みが残っている」「労災治療が終わった後、どこに相談すればいいの?」——そんな不安を抱えたまま、毎日を過ごしていませんか?
症状固定後も、労災のアフターケア制度を活用すれば、継続して治療・リハビリを受けることができます。症状固定はゴールではなく、新しいケアのスタートラインです。
アフターケア制度の対象となる傷病は全28種類。脊髄損傷や末梢神経損傷など整形外科的な疾患も多く含まれます。制度の概要・手続き・症状固定後の治療の選択肢まで、整形外科医の立場からわかりやすく解説します。
労災の治療期間中、「症状固定」という言葉を主治医から告げられると、多くの方が「これ以上治療してもらえないの?」と戸惑いを感じます。痛みや不自由さが残っているにもかかわらず、治療の区切りを宣告されるような感覚は、精神的にもつらいものです。
特に腰や首の痛み・手足のしびれ・関節の動きにくさは、症状固定後も日常生活に大きく影響します。「痛みはあるけれど、もう保険診療で治療は受けられない」と諦めている方も少なくありません。
しかし、症状固定後に受けられる選択肢は、実はゼロではありません。国の労災補償制度には、症状固定後の方を対象とした「アフターケア制度」が設けられています。また、症状固定後の痛みに対しても、整形外科的な観点からアプローチできる治療法があります。
まずは「症状固定とは何か」「アフターケアとは何か」を正しく理解するところから始めましょう。知識があるかないかで、その後の生活の質は大きく変わります。
症状固定とは、「治療を続けてもそれ以上の改善が見込めない状態になった」と医師が判断するタイミングのことです。これは、「完全に治った」という意味ではありません。痛みや機能障害が残っていても、現時点での医学的な治療効果が頭打ちになったと判断された段階を指します。
症状固定後も痛みや機能障害が残ることはよくあります。残った症状は「後遺障害」として等級認定の対象となる場合があり、障害補償給付などを受け取れる可能性があります。症状固定はゴールではなく、補償手続きの新たな出発点と考えることが重要です。
症状固定の診断が出ると、労働基準監督署に対して障害(補償)等給付の申請ができるようになります。後遺障害の内容に応じて1〜14級の等級が認定され、等級に応じた給付を受けることができます。申請には主治医に「障害給付請求書」用の診断書を作成してもらう必要があります(個人差があります)。
症状固定後であっても、労災のアフターケア制度の対象であれば、引き続き指定医療機関での診察・検査・リハビリを無料で受けることができます。また、症状が悪化・再発した場合には、再度、労災保険の療養補償を受けられる場合もあります。「もう何もできない」と諦めてしまう前に、制度を確認することが大切です。
労災保険のアフターケア制度(正式名称:アフターケア制度)は、症状固定後も残った障害の悪化を予防し、円滑な社会復帰を支援することを目的とした国の制度です。厚生労働省が定める28種類の対象傷病に該当する場合、労働者は指定医療機関で継続的にケアを受けることができます(費用は原則として労災保険が負担)。
アフターケアで受けられるサービスには、診察・保存的処置(薬の処方など)・保健指導・検査・リハビリ(理学療法・作業療法)などが含まれます。ただし、新たな疾患の治療や手術などの積極的な治療は対象外となる場合があり、内容には一定の制限があります。詳細は最寄りの労働局または労働基準監督署にご確認ください。
28種類の対象傷病のうち、整形外科的な疾患として代表的なものをご紹介します(個人差があります。詳細は必ず所轄の労働基準監督署にご確認ください)。
| 対象傷病(例) | 主な対象部位・状態 |
|---|---|
| 脊髄損傷 | 頸髄・胸髄・腰髄損傷による麻痺・しびれ |
| 末梢神経損傷 | 手足のしびれ・感覚障害・運動障害 |
| 振動障害 | 白ろう病・手指・手腕の障害 |
| 外傷による関節障害 | 可動域制限・関節の変形・疼痛 |
| 慢性肝炎など(全身疾患) | 業務上の感染・疾患による後遺症 |
自分の傷病が対象かどうか不明な場合は、加入している労災保険の窓口(所轄の労働基準監督署)または主治医にご相談ください。
アフターケア制度を利用するには、以下の手順が必要です(手続きの詳細・書式は労働基準監督署にご確認ください)。
STEP 1. 主治医から症状固定の診断を受ける
STEP 2. 所轄の労働基準監督署に「アフターケア実施申請書」を提出(医師の意見書が必要な場合あり)
STEP 3. 都道府県労働局から「アフターケア手帳」が交付される(審査あり)
STEP 4. アフターケア手帳を持参して、指定医療機関での受診・リハビリを開始する
⚠️ 注意:アフターケアには実施期間・回数に上限がある場合があります
アフターケア制度の実施期間・受診回数には傷病の種類によって上限が設けられている場合があります。また、アフターケアはあくまで「症状の維持・悪化予防」を目的とするものであり、新たな積極的治療は対象外となる場合があります。詳細は必ず所轄の労働基準監督署または産業保健スタッフにご確認ください。
アフターケア制度の範囲内では、理学療法士・作業療法士によるリハビリテーションを受けることができます。可動域訓練・筋力トレーニング・日常生活動作訓練などが中心となり、残存する機能をできる限り維持・改善することを目的としています。
また、痛みのコントロールのために消炎鎮痛剤や湿布などの薬物療法、温熱療法・低周波治療などの物理療法が組み合わせて行われます。こうした保存療法は、毎日の生活の質(QOL)を支える上で重要な役割を担います。
労災アフターケア制度の範囲内では対応できない場合や、さらなる改善を目指したい方には、自費診療として提供されている先進的な治療法を選択肢として検討することもできます。
✅ 自費診療を選ぶメリット
⚠️ 自費診療の注意点
たとえば拡散型圧力波治療は、体の外から圧力波を患部に照射して慢性的な痛みや筋肉の緊張を和らげることが期待される治療法です。また、PFC-FD療法(再生医療)は、自己血液に由来する成長因子を患部に注射する再生医療であり、膝や肩の慢性疼痛などに対して活用されています(効果には個人差があります)。
さらに、保険診療の期限を超えたリハビリテーションを自費で継続できる「自費リハビリ」という選択肢もあります。「もうリハビリの期限が切れてしまった」という方でも、自費診療として専門スタッフのもとでリハビリを続けることが可能な施設があります。
症状固定後に症状が明らかに悪化したり、新たな症状が現れた場合は、「再発」として再度、労災保険の療養補償を受けられる可能性があります。この場合は、速やかに医療機関を受診し、主治医に状況を伝えた上で、所轄の労働基準監督署に相談することをおすすめします。
「あの頃よりも痛みがひどくなった気がする」「以前はできていた動作が急にできなくなった」という変化を感じたら、我慢せずに早めに整形外科を受診することが大切です。変化の記録(いつから・どんな症状か・程度の変化)をメモしておくと、医師や監督署での説明もスムーズになります。

📋 この記事のまとめ
「もう治療は終わり」と諦める必要はありません。労災アフターケアの活用方法から、自費リハビリ・先進治療まで、現状に合わせた選択肢をご提案します。神保町駅徒歩2分・平日18:30まで診療。まずはお気軽にご相談ください。
慢性的な痛みで悩まれている方、痛みの治療で悩まれている方 ご相談ください〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-29 すずらんビル2F / 東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄三田線・新宿線「神保町」駅 A7出口より徒歩2分(ファミリーマート神保町一丁目店のあるビルの2・3・4F)/ 診療時間:月〜金 9:30〜13:00 / 14:30〜18:30(土・日・祝 休診)
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👨⚕️ 院長 板倉 剛(いたくら ごう)先生より
「症状固定と言われたからといって、痛みや不自由さを年齢や体質のせいにして諦める必要はないと考えています。当院の診療のゴールは、病気や機能の改善にとどまらず、患者さんのQOL(人生の質)を向上させることです。完治が難しいケースであっても、あらゆる手段を使って現状より良い状態を目指します。労災後のアフターケアで悩んでいる方、他院でのリハビリ期限が切れてしまった方も、まずは一度ご相談ください。神保町駅から徒歩2分の立地で、平日18:30まで診療しておりますので、お仕事帰りでも無理なくお越しいただけます。」