
「骨折してからなかなか骨がくっつかない」「ギプスが外れたのに、まだ痛みが残っている」——そんな不安を抱えている方は少なくありません。
実は、骨折の回復には個人差があり、年齢・骨折の部位・骨の状態によっては通常より骨癒合(こつゆごう)に時間がかかるケースがあります。そこで近年、整形外科領域で注目されているのが「超音波骨折治療(LIPUS)」です。
LIPUSは低出力の超音波を骨折部位に当てることで骨癒合を促進する治療法で、1日わずか20分の照射を自宅で続けるスタイルが一般的です。痛みを感じにくい治療として知られており、骨粗しょう症をお持ちの方や高齢の方にも用いられています。
- ✅ LIPUSとは何か・どんな仕組みで骨癒合を促すのか
- ✅ どんな骨折・どんな方に適応しやすいのか
- ✅ 治療を受ける際の流れと注意点
LIPUSとは?超音波骨折治療の基礎知識
「骨がなかなかくっつかない」——よくある悩みです
骨折は適切な固定と安静によって骨がくっつき(骨癒合)、回復していくのが基本です。しかし実際には、「ギプスを外す目安の時期になっても骨がまだ癒合しきっていない」「骨折後にリハビリが思うように進まない」というケースが少なくありません。
とくに高齢の方や骨粗しょう症のある方、疲労骨折を繰り返しているスポーツ選手などは、骨の修復力が低下しやすく、通常より長い回復期間を要することがあります。「年だから仕方ない」と諦めてしまっている方もいらっしゃいますが、骨折治療にはこうした方に向けたアプローチが存在します。
LIPUSとはどんな治療?
LIPUS(リーパス)とは「Low Intensity Pulsed Ultrasound」の略で、日本語では「低出力パルス超音波」と呼ばれます。超音波骨折治療とも表現され、骨折部位に弱い超音波を規則的に照射することで、骨の癒合を促進することを目的とした治療法です。
日本では薬事承認を受けた医療機器として整形外科領域で使用されており、骨折の保存療法の一つとして位置づけられています。出力が非常に低いため、照射中に熱や痛みを感じることはほとんどないとされています(個人差があります)。
通常の超音波診断装置(エコー検査)とは目的も出力もまったく異なりますので、混同しないようご注意ください。
よくある誤解:「超音波治療=温める治療」ではありません
整形外科のリハビリで用いられる「超音波治療器」は、組織を温めることで血行を促進する目的で使われることがあります。LIPUSはこれとは異なり、「低出力のパルス(間欠的)照射」によって骨細胞に直接作用する点が特徴です。温熱効果ではなく、細胞レベルへの機械的刺激が主なメカニズムであることが研究で示されています。
LIPUSが骨癒合を促す仕組み——整形外科医が解説
「超音波を当てると骨がくっつきやすくなる」と聞いても、なぜそうなるのか気になる方も多いかと思います。ここでは、LIPUSが骨癒合に働きかける代表的なメカニズムをポイントごとに整理します。
骨折後の回復には、骨を新しく作る「骨芽細胞(こつがさいぼう)」の働きが欠かせません。LIPUSの微弱な超音波刺激は、骨芽細胞の活性化を促すとされています。これにより、骨折部位での新しい骨組織の形成が支援されます。
骨折後、まず「仮骨(かこつ)」と呼ばれる未熟な骨組織が形成されます。これが成熟することで本来の硬い骨になります。LIPUSはこの仮骨の形成スピードや成熟過程に好影響を与えるとされており、骨癒合までの期間を短縮できる可能性があると報告されています(個人差があります)。
骨が癒合するためには、骨折部位に酸素や栄養素が十分に届く必要があります。LIPUSは局所の血管新生(新しい血管の形成)を促す作用があるとされており、骨折部位への血流改善を通じて回復環境を整えることに寄与すると考えられています。

LIPUSが適している骨折・適応の目安
どんな骨折・どんな方に向いている?
LIPUSはすべての骨折に対して一律に使用するものではなく、骨折の状態や患者さんの状況に応じて適応が判断されます。以下に代表的な適応例を挙げます。あくまで一般的な目安ですので、詳細はご受診の際に医師にご確認ください。
✅ LIPUSが検討されやすいケース
- 新鮮骨折(骨折直後から早期に開始)
- 遷延癒合(骨折後、通常より長く骨がくっつかない状態)
- 疲労骨折(スポーツや繰り返しの負荷による骨折)
- 骨粗しょう症のある方の骨折(骨密度が低く癒合しにくいケース)
- 手術後の骨癒合促進が必要な場合
- 高齢者の骨折(骨の修復力が低下している方)
⚠️ 注意・確認が必要なケース
- ペースメーカーを装着している方
- 照射部位に悪性腫瘍がある方
- 骨折部の皮膚に重篤な損傷がある場合
- 成長軟骨(骨端線)部位への照射
- 妊娠中の方(子宮・骨盤周辺への照射)
⚠️ 注意
LIPUS治療の適応かどうかは、骨折の部位・状態・患者さんの全身状態によって異なります。自己判断で照射機器を購入・使用することは避け、必ず整形外科医の診断のもとで使用してください。また、効果には個人差があります。
保険適用・自費の区分について
LIPUSは骨折の状態や使用する機器・施設によって、保険適用となる場合と自費となる場合があります。適用区分は医療機関によって異なるため、受診先のクリニックに直接ご確認されることをおすすめします。神保町整形外科での骨折超音波治療の詳細については、お気軽にお問い合わせください。
LIPUS治療の流れと期間の目安
治療はどのように進む?
LIPUSは専用の超音波照射装置を用いて行います。クリニックで機器の使い方の指導を受けたあと、多くの場合は自宅で1日1回・約20分の照射を継続するスタイルが一般的です(使用する機器や処方内容によって異なる場合があります)。
クリニックで照射する方式もありますが、いずれの場合も継続的な使用が骨癒合促進の鍵となります。忙しいビジネスマンの方や、毎日通院が難しい方にとっても取り組みやすい治療形式といえるでしょう。
期間の目安(個人差あり)
LIPUSの治療期間は、骨折の種類・部位・患者さんの年齢・骨の状態などによって大きく異なります。一般的には数週間から数か月にわたって使用を継続するケースが多いとされていますが、あくまでも目安であり、定期的な画像検査(X線など)で骨癒合の状況を確認しながら医師が判断します。
「まだ骨がくっつかないかもしれない」と不安を抱えている方ほど、早めに整形外科医に相談することが大切です。遷延癒合の状態が長くなるほど、対処の選択肢が限られてくることがあります。
骨折後の回復は、骨癒合だけで完結するわけではありません。筋力の回復・関節の可動域改善・日常生活や競技への復帰に向けたリハビリテーションが並行して重要です。LIPUSによる骨癒合の促進と、理学療法士によるリハビリを組み合わせることで、より総合的な回復が期待できます(個人差があります)。
骨折後のリハビリも並行して考えましょう
骨折後に「病院でのリハビリが終了・期限切れになった」「手術後のリハビリをどこで続ければよいかわからない」というご相談を受けることがあります。骨癒合が進んだ段階であっても、筋力や機能の回復が不十分なまま日常生活に戻ると、再骨折や別の部位の負担増加につながるリスクがあります。骨折の治癒と機能回復は、セットで考えることが大切です。
神保町整形外科のLIPUS・骨折治療へのこだわり
東京都千代田区神田神保町にある神保町整形外科では、骨折超音波治療(LIPUS)を含む骨折治療・骨の健康管理に対して、複数のアプローチで対応しています。
- 🦴 骨折超音波治療(LIPUS)を導入し、骨癒合促進に取り組んでいます
- 📊 全身型骨密度測定装置を備え、骨粗しょう症のリスク評価・予防医療にも対応しています
- 🏥 聖路加国際病院・慶應義塾大学病院・東京大学医学部附属病院など大病院からの術後リハビリ紹介にも対応しています
- 👥 10名以上の理学療法士・作業療法士が在籍し、骨折後の機能回復リハビリを丁寧にサポートします
- 🕡 平日18:30まで診療。神保町駅A7出口から徒歩2分で、お仕事帰りにもご来院いただけます

よくあるご質問(FAQ)
📝 まとめ:この記事のポイント
- ✅ LIPUSは低出力の超音波を骨折部位に照射して骨癒合を促進する治療法です
- ✅ 骨芽細胞の活性化・仮骨の成熟促進・血流改善などのメカニズムが報告されています
- ✅ 遷延癒合・疲労骨折・骨粗しょう症のある方の骨折などで検討されやすい治療です
- ✅ 1日約20分・自宅での使用が一般的ですが、適応・使用法は必ず医師が判断します
- ✅ 骨折治療はLIPUSだけでなく、リハビリとの組み合わせが回復の質を高めます
骨折の回復・骨の健康についてお悩みの方へ
「骨がなかなかくっつかない」「骨折後のリハビリをどこで続ければよいかわからない」など、骨に関するお悩みはお気軽にご相談ください。東京都千代田区神田神保町、神保町駅より徒歩2分。平日18:30まで診療していますので、お仕事帰りにもお立ち寄りいただけます。
👨⚕️ 院長 板倉 剛(いたくら ごう)先生より
「年齢だから骨の回復が遅くて当然、と諦める必要はないと考えています。骨折後の骨癒合促進には、LIPUSのような治療法を活用しながら、リハビリと組み合わせた総合的なアプローチが大切です。当院では、骨折の治療から骨密度の管理、術後リハビリまで、患者さんの状態に合わせてご提案しています。他院で『これ以上できることはない』と言われた方も、ぜひ一度ご相談ください。現状より良い状態を目指すために、できる限りのお手伝いをしたいと思っています。」