
椅子や床から立ち上がるときに、つい手をついてしまう――そんな動作が最近増えていませんか?「年のせいだから仕方ない」と思いがちですが、その「手をつく」という動作は、ロコモ(ロコモティブシンドローム=運動器症候群)が進行しているサインである可能性があります。
ロコモとは、骨・筋肉・関節・軟骨・椎間板などの運動器の機能が衰え、立つ・歩くといった日常動作が困難になっていく状態のことです。放置すると将来的に介護が必要になるリスクが高まりますが、早い段階で気づいて適切に対処すれば、今より動きやすい状態を目指すことができます。
この記事では、立ち上がりに手をつく原因・ロコモとの関係・セルフチェックの方法・日常でできる対策・整形外科での治療まで、具体的にお伝えします。
- ✅ 「立ち上がりに手をつく」とロコモの関係がわかる
- ✅ 自分でできるロコモのセルフチェック方法がわかる
- ✅ 整形外科での検査・治療・リハビリの具体的な内容がわかる
「立ち上がりに手をつく」はなぜ起こる?
立ち上がり動作に必要な力とは
椅子や床から立ち上がる動作は、実は全身の筋肉・関節・バランス感覚が連携して行われる複雑な動きです。特に太ももの前面(大腿四頭筋)や股関節周囲の筋肉、体幹の安定性が大きく関わっています。これらの筋力が低下すると、立ち上がりの途中で踏ん張りが利かなくなり、つい椅子の肘掛けやひざに手をついて補助してしまうようになります。
また、膝関節や股関節に変形や炎症がある場合、痛みを避けるために自然と手で体重を分散させようとすることも「手をつく」動作につながります。
「手をつく」ことが習慣になると悪循環が生まれる
手をついて立ち上がることが習慣化すると、下肢の筋肉を使う機会がさらに減り、筋力低下が加速するという悪循環が起きやすくなります。「痛いから使わない→使わないからさらに弱くなる→もっと使えなくなる」というサイクルは、ロコモの典型的な進行パターンの一つです。
「年だからしょうがない」と片付けてしまう前に、なぜ手をつく必要があるのか、その原因を把握することが大切です。原因によって対策が異なるため、早めに整形外科で評価を受けることをおすすめします。
よくある誤解:「筋トレすれば解決する」とは限らない
立ち上がりの問題を「筋力不足だから筋トレすれば治る」と自己判断してしまうケースがありますが、これは注意が必要です。膝の変形性関節症や腰部脊柱管狭窄症などが隠れている場合、誤った負荷のかけ方が症状を悪化させることもあります。まずは原因を正確に診断してもらったうえで、適切な運動を選ぶことが重要です。
ロコモティブシンドロームとは何か
ロコモの定義と3つの原因
ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)は、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。骨・筋肉・関節・軟骨・椎間板などの「運動器」が衰えることで、立つ・歩く・階段を上り下りするといった日常的な移動機能が低下した状態を指します。
①骨の問題:骨粗しょう症による骨密度低下。転倒時に骨折しやすくなり、そのまま寝たきりになるリスクが高まります。②筋肉の問題:加齢による筋肉量の減少(サルコペニア)。筋力低下は40代以降から徐々に始まり、70代では若い頃の半分以下になることもあります(個人差があります)。③関節・神経の問題:変形性膝関節症・腰部脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニアなど。痛みや麻痺により動きが制限されます。
日本整形外科学会はロコモをステージ1〜3に分類しています。ステージ1:移動機能の低下が始まっており、日常生活には支障がないが、運動器の機能が弱くなっている状態。ステージ2:移動機能の低下が進んでおり、社会参加に支障が出始める状態。ステージ3:移動機能の低下が著しく、自立した日常生活が困難な状態。立ち上がりに手をつくようになった段階は、多くの場合ステージ1〜2に当たると考えられます(個人差があります)。早めの介入が重要です。
ロコモは「運動器(骨・筋肉・関節・神経)の機能低下」が主な対象です。サルコペニアは「筋肉量・筋力の低下」に特化した概念で、ロコモの一因になります。フレイルは「体力・活力全般の虚弱」を指し、身体・認知・社会的な側面を含みます。これらは重なり合っていることが多く、ロコモの評価と合わせて総合的に診てもらうことが大切です。
ロコモは高齢者だけの問題ではない
ロコモというと高齢者の問題というイメージがありますが、実は40〜50代から運動器の衰えは始まっています。デスクワーク中心のビジネスパーソンや、運動習慣のない方は特に注意が必要です。東京都千代田区神田神保町周辺でお勤めの方も、日々の通勤や座りっぱなしの仕事習慣がロコモのリスクを高める可能性があります。
ロコモのセルフチェック方法
日本整形外科学会公式「ロコチェック」7項目
日本整形外科学会が公開しているロコモ度チェック(ロコチェック)は、日常動作から運動器の衰えを簡単に確認できるツールです。以下の7項目のうち1つでも当てはまる場合は、ロコモの可能性があります。
| 項目 | チェック内容 |
|---|---|
| ① | 片脚で靴下が履けない |
| ② | 家の中でつまずいたり、滑ったりする |
| ③ | 階段を上るのに手すりが必要 |
| ④ | やや重い家事(掃除機かけ、布団の上げ下ろしなど)が困難 |
| ⑤ | 2kg程度の買い物(1リットルの牛乳パック2本程度)をして持ち帰るのが困難 |
| ⑥ | 15分くらい続けて歩けない |
| ⑦ | 横断歩道を青信号で渡りきれない |
※出典:日本整形外科学会「ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト」
立ち上がりテスト(ロコモ度テスト)
ロコモ度テストの一つである「立ち上がりテスト」は、椅子の高さに対して片脚・両脚で立ち上がれるかどうかで下肢筋力を評価します。40cmの高さの椅子から両脚で立てない場合はロコモ度1、20cmから両脚で立てない場合はロコモ度2の目安とされています(個人差があります)。
ご自宅で試す場合は、転倒に十分注意してください。不安な方は整形外科で専門スタッフに評価してもらう方が安全です。

⚠ セルフチェック時の注意
片脚立ちや立ち上がりテストは転倒リスクがあります。必ず壁や安定した椅子のそばで行い、一人で無理に行わないようにしてください。特に骨粗しょう症が疑われる方・すでに痛みがある方は、整形外科で専門的な評価を受けることをおすすめします。
歩行速度・歩幅もロコモのサイン
歩行速度の低下も運動器機能の衰えを示す重要なサインです。一般的に、通常歩行速度が毎秒1m未満の場合、運動器の機能低下が進んでいる可能性があるとされています(個人差があります)。「以前より歩くのが遅くなった」「一歩一歩が小さくなってきた」と感じる場合は、専門家への相談を検討してみてください。
ロコモの予防・改善のためにできること
ロコトレ(ロコモ予防トレーニング)の基本
日本整形外科学会が推奨する「ロコトレ」の代表的なメニューが、「片脚立ち」と「スクワット」の2種類です。難しい器具や広いスペースは必要なく、自宅でも取り組みやすいのが特徴です。
安定した台や壁の近くに立ち、片脚を床から少し浮かせた状態を1分間キープします。左右それぞれ1分×3セットが目安です。転倒防止のため、必ず手すりや壁のそばで行ってください。股関節周囲の筋力・バランス感覚の改善が期待できます(個人差があります)。
足を肩幅より少し広めに開き、つま先を30度程度外側に向けます。膝をつま先の方向に曲げながら、ゆっくりと腰を落としていきます。膝が90度以上曲がらない範囲で止め、ゆっくり戻ります。5〜6回×3セットが目安です。膝に痛みがある場合は浅い角度から始め、無理のない範囲で行ってください。
食事・栄養でロコモを予防する
筋肉や骨の維持には、適切な栄養摂取が欠かせません。特に意識したいのは以下の3つです。
- タンパク質:筋肉の材料となります。肉・魚・卵・大豆製品などから積極的に摂りましょう。
- カルシウム:骨の密度を保つために必要です。乳製品・小魚・緑黄色野菜などが豊富な食品です。
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助けます。魚類・きのこ類・日光を浴びることで体内でも合成されます。
高齢になると食事量が減りがちで、タンパク質不足になりやすい傾向があります。「お腹があまり空かないから少量でいい」という思い込みは筋肉量低下を招くリスクがあります。食事内容が不安な方は、主治医や管理栄養士に相談してみてください。
日常生活での歩行量を意識する
特別な運動が難しい方でも、日々の歩行量を増やすことがロコモ予防に役立ちます。エレベーターより階段を使う、一駅分歩くなど、無理のない範囲での習慣づくりが大切です。千代田区神田神保町エリアは書店街としても知られる歴史ある町並みで、散歩やウォーキングに適した環境でもあります。日常のなかに「歩く機会」を取り入れることを意識してみてください。
慢性的な痛みで悩まれている方、痛みの治療で悩まれている方 ご相談ください
整形外科ではどんな検査・治療を受けられるか
整形外科での評価・検査の内容
ロコモが疑われる場合、整形外科ではまず問診・診察で日常動作の状態を確認します。そのうえで必要に応じて以下の検査が行われます。
- X線(レントゲン):骨の形・関節の隙間・変形の程度を確認します。
- 骨密度測定:骨粗しょう症の有無・程度を評価します。転倒・骨折リスクの判断に重要です。
- MRI・CT:軟骨・椎間板・神経の状態を詳しく評価する場合に使用します。
- 筋力・バランス評価:理学療法士による機能評価で、弱い部位・動作パターンの問題点を特定します。
ロコモへの治療アプローチ
ロコモの治療は、原因や状態によって異なります。主な選択肢を以下に整理します。
✅ 保険診療でできること
- 運動療法・リハビリテーション
- 物理療法(低周波・温熱・牽引など)
- 薬物療法(鎮痛薬・骨粗しょう症薬など)
- 関節内注射(ヒアルロン酸など)
- 骨折超音波治療(※自費の場合あり)
- 装具・インソール処方
💡 自費診療の選択肢
- PFC-FD療法(再生医療)
- 拡散型圧力波治療
- エムセラ(筋力強化)
- NMN点滴療法(アンチエイジング)
- 自費リハビリテーション(日数制限なし)
リハビリテーションがロコモ改善の鍵
ロコモの改善において、リハビリテーション(運動療法)は治療の中心的な役割を担います。ただ痛みを抑えるだけでなく、弱くなった筋肉を鍛え直し、正しい動作パターンを身につけることで、立ち上がり・歩行といった日常動作の改善が期待できます(個人差があります)。
保険診療のリハビリには算定日数の上限が設けられている場合があります。「他院でリハビリの期限が切れてしまった」「もっと続けたいのに終わってしまった」という方も多くいらっしゃいます。そのような場合、自費リハビリという選択肢もあります。詳しくはお問い合わせください。
⚠ こんな症状は早めに受診を
・急に立ち上がれなくなった、または急に歩けなくなった場合は、骨折・神経障害・循環器系の問題が隠れている可能性があります。セルフケアで様子を見ず、早めに整形外科を受診してください。・転倒して強く打ったあとから痛みが続く場合も同様です。高齢者の脊椎・股関節骨折はX線で評価する必要があります。
神保町整形外科のロコモ・運動器診療について
東京都千代田区神田神保町にある当院では、ロコモや慢性的な運動器の痛みに悩む方が通いやすい環境づくりに取り組んでいます。
- 🦴 全身型骨密度測定装置の導入:骨粗しょう症の早期発見・経過観察を行い、ロコモ予防の観点からも骨の状態を評価できます。
- 🏥 10名以上のリハビリスタッフが在籍:理学療法士・作業療法士が在籍し、2フロアのリハビリ施設でお一人おひとりに合わせた運動療法を提供しています。パワープレート・自動牽引装置・温熱療法機器など多彩な設備を活用しています。
- 🔬 再生医療・先進自費診療:PFC-FD療法(血小板由来成長因子再生医療)・拡散型圧力波治療・エムセラなど、保険診療の枠にとどまらない選択肢をご提案できます(すべて自費診療・保険適用外)。
- 📅 平日18:30まで診療・神保町駅から徒歩2分:お仕事帰りのビジネスマンの方も無理なく通院していただけます。聖路加国際病院・慶應義塾大学病院・東京大学医学部附属病院などからの術後リハビリの紹介にも対応しています。
- 💳 自費リハビリ(日数制限なし):保険リハビリの期限が切れてしまった方にも、継続的なリハビリ環境を提供しています。詳しくはお問い合わせください。

よくある質問(FAQ)
この記事のまとめ
- ✅ 立ち上がりに手をつく動作は、ロコモ(運動器症候群)や筋力低下・関節疾患のサインである可能性がある
- ✅ ロコモはステージ1〜3で進行し、早期に気づいて対処するほど改善が期待しやすい(個人差があります)
- ✅ ロコチェック7項目や立ち上がりテストでセルフチェックができるが、転倒に注意し不安な方は専門家へ
- ✅ ロコトレ(片脚立ち・スクワット)・栄養・歩行量の改善が予防・改善の基本。ただし原因の診断が先
- ✅ 整形外科では骨密度測定・リハビリ・再生医療・自費リハビリなど幅広い選択肢で対応できる
慢性的な痛みや動きにくさ、一人で抱え込まないでください
「年だから仕方ない」と諦める前に、まずは整形外科専門医にご相談ください。東京都千代田区神田神保町・神保町駅徒歩2分の当院では、平日18:30まで診療しており、お仕事帰りにも通いやすい環境を整えています。ロコモ・慢性痛・術後リハビリまで、身近なかかりつけ医として一緒に考えていきます。
🩺 院長・板倉 剛(いたくら ごう)先生より
「立ち上がりに手をついてしまう、階段がつらくなってきた……そういった変化を『年のせい』と諦めてほしくないと思っています。ロコモは進行する前に対処するほど、改善できることが多い状態です。診療のゴールは、ただ痛みを和らげることではなく、患者さんがご自身の生活をより豊かに送れるようになること、つまりQOL(人生の質)の向上です。完治が難しい状態であっても、あらゆる手段を使って今より良い状態を目指していきます。慢性痛で諦めていた方、他院での治療で変化を感じられなかった方こそ、ぜひ一度ご相談ください。身近なかかりつけ医として、一緒に考えていきましょう。」