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労災なのに病院に行かない人が多いのはなぜ?よくある理由と考え方

2026.02.16

業務中や通勤中にケガをしたにもかかわらず、病院を受診しない従業員の方が少なくありません。 「軽いケガだから大丈夫」「会社に迷惑をかけたくない」「手続きが面倒そう」・・・こうした理由から、受診を先延ばしにしてしまうケースが実際に多く見られます。 しかし、労災によるケガは一般的な外傷とは異なり、受傷直後に症状が出にくく、時間が経ってから痛みやしびれが現れることがあります。 この記事では、労災事故が発生しても病院に行かない従業員が多い実態と、その背景にある心理的要因や現実的な障壁について詳しく解説します。

労災事故後に病院に行かない人が多い理由とは

労災事故が発生しても、すぐに病院を受診しない従業員が一定数存在します。 これは単なる本人の判断ミスではなく、いくつかの心理的・社会的要因が複雑に絡み合った結果です。 まず、多くの方が「軽いケガだから大丈夫」と自己判断してしまう傾向があります。打撲や捻挫程度であれば、湿布を貼って様子を見ようと考える方も少なくありません。 しかし、業務中のケガは一般的な私傷病とは異なり、後から症状が悪化したり、慢性化したりするリスクがあります。

会社への配慮や評価への不安

「会社に迷惑をかけたくない」という心理も、受診を避ける大きな要因です。 特に中小企業では、人手不足の中で自分が休むことで同僚に負担がかかることを気にする従業員が多くいます。また、労災を申請することで「仕事ができない人」「注意力が足りない人」と評価されるのではないかという不安もあります。 こうした心理的プレッシャーが、本来受けるべき医療や補償を受けることを妨げているのです。

手続きの煩雑さに対する誤解

労災の申請手続きが複雑で面倒だと思い込んでいる方も少なくありません。 確かに、労災保険の申請には所定の書類提出が必要ですが、実際には医療機関や会社のサポートを受けながら進めることができます。しかし、「書類が多そう」「時間がかかりそう」というイメージが先行し、受診そのものを諦めてしまうケースがあります。 また、健康保険との違いがわからず、「とりあえず健康保険で受診すればいい」と考える方もいますが、業務災害や通勤災害では健康保険を使用できません。

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労災で病院に行かないことのリスク

労災事故後に病院を受診しないことは、本人にとって大きなリスクを伴います。 最も深刻なのは、症状の慢性化や後遺症につながる可能性です。受傷直後は軽い痛みでも、適切な治療を受けずに放置すると、関節の可動域制限や慢性的な痛みが残ることがあります。 特に首や腰のケガは、初期対応が遅れることで長期的な不調を引き起こしやすい部位です。

事故との因果関係が認められなくなる

事故から時間が経過してから受診すると、ケガと事故との因果関係を医学的に証明することが難しくなります。 労災保険の給付を受けるためには、業務起因性が認められる必要がありますが、受診が遅れると「業務外で負傷したのではないか」と疑われる可能性があります。特に、事故から数日以上経過してからの受診では、労災認定が困難になるケースもあります。 早期受診は、適切な補償を受けるためにも重要なのです。

健康保険が使えず医療費が自己負担になる

業務中のケガや通勤中の事故では、健康保険を使用することができません。 これは法律で明確に定められており、業務災害や通勤災害は労災保険の対象となるためです。もし健康保険証を使って受診した場合、後日、協会けんぽや健康保険組合から問い合わせがあり、療養費の返金を求められることがあります。 また、労災を申請せずに全額自己負担で治療を続けると、経済的な負担が大きくなります。労災保険を利用すれば、治療費は100%補償されるため、金銭的なコストを考えても労災申請が最善です。

企業が従業員に労災申請を促すべき理由

従業員が労災申請を希望しない場合でも、企業側には適切に対応する責任があります。 労働基準法では、企業が従業員に対して災害補償を行う義務が定められています。また、業務災害によって従業員が休業した場合、企業は労働基準監督署に死傷病報告書を提出しなければなりません。 休業期間が3日を超える場合は様式第23号を遅滞なく提出し、3日以下の場合は四半期ごとに様式第24号で報告する必要があります。 この報告を怠ると、労災隠しとして罰則の対象になる可能性があります。

従業員への説明とサポートが重要

企業は、従業員に対して労災を申請しないことのデメリットと、申請することのメリットをしっかりと説明する必要があります。 労災保険を利用すれば、療養費の全額補償に加えて、休業補償給付も受けられます。休業補償給付では、第4日目から平均賃金の80%(休業補償給付60%+休業特別支給金20%)が支給されるため、健康保険の傷病手当金よりも手厚い補償内容となっています。 こうした具体的な情報を提供することで、従業員の不安を軽減し、適切な受診を促すことができます。

労災申請は企業の義務である

法律上、業務災害や通勤災害が発生した場合、企業は労災申請を行わなければなりません。 従業員が希望しない場合でも、企業には安全配慮義務があり、適切な対応が求められます。労災を申請しないことは、従業員の健康を守る責任を放棄することにもつながります。 また、労災申請を拒否することで、後日トラブルに発展するリスクもあります。企業としては、従業員の健康と安全を最優先に考え、適切な手続きを進めることが重要です。

労災事故後の適切な対応と受診の重要性

労災事故が発生した場合、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。 交通事故と同様に、労災によるケガも受傷直後に症状が出にくく、時間が経ってから痛みやしびれが現れることがあります。そのため、「今は痛くないから大丈夫」と判断せず、事故後早期からの整形外科受診が推奨されます。 神保町整形外科では、労災保険指定医療機関として、業務中や通勤中のケガに対応しています。業務中の転倒・打撲・捻挫・骨折、通勤中の事故による首・腰の痛み、ぎっくり腰や関節の外傷など、労災保険の対象となるケースについても制度に沿った診療を実施しています。

早期受診が後遺症を防ぐ

事故から時間が経過してからの受診では、事故との因果関係が医学的に判断しづらくなります。 また、症状が慢性化・長期化したり、二次障害や後遺症につながったりするリスクもあります。神保町整形外科では、事故直後に症状が軽微、あるいは自覚症状がない場合でも受診を推奨し、早期から状態を把握することで適切な治療・経過管理につなげています。 交通事故診療で重視しているのは、その場しのぎの治療ではなく、事故前の生活にできるだけ近づけることです。痛みやしびれの原因を丁寧に評価し、症状の変化を見逃さない経過観察を行い、必要に応じた治療内容の見直しを実施することで、患者一人ひとりの回復過程に合わせた診療を心がけています。

労災保険の適用範囲を理解する

労災保険は、正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員の方も対象となります。 業務中や通勤中のケガであれば、雇用形態に関わらず労災保険が適用されます。また、労災保険を利用すれば、療養費の全額補償に加えて、休業補償給付も受けられるため、経済的な負担を軽減できます。 「自分は非正規だから労災は使えない」と誤解している方もいますが、これは間違いです。すべての労働者が労災保険の対象となることを理解しておくことが大切です。

まとめ:労災事故後は早期受診が重要

労災事故が発生しても病院に行かない従業員が多い背景には、会社への配慮、手続きへの不安、軽症だという自己判断など、さまざまな理由があります。 しかし、受診を先延ばしにすることは、症状の慢性化や後遺症のリスクを高めるだけでなく、適切な補償を受ける機会を失うことにもつながります。 企業側も、従業員が労災申請を希望しない場合でも、法律上の義務として適切に対応する必要があります。労災保険を利用すれば、従業員は手厚い補償を受けることができ、企業も安全配慮義務を果たすことができます。 労災事故後は、できるだけ早く整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。神保町整形外科では、労災保険指定医療機関として、業務中・通勤中のケガに対応し、患者一人ひとりの回復過程に合わせた診療を提供しています。 「軽いケガだから」と放置せず、早期受診を心がけることで、健康な状態での職場復帰を目指しましょう。 神保町整形外科では、交通事故や労災によるケガの診療に力を入れています。事故後の不調や痛みでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

著者情報

神保町整形外科 院長 板倉 剛

経歴

資格

所属学会

投稿者:神保町整形外科

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