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夜間にトイレが近くなるのはなぜ?夜間頻尿の原因を解説

2026.02.12

夜中に何度もトイレで目が覚める・・・ こうした夜間頻尿の悩みを抱えている方は、決して少なくありません。 実は、40歳以上の男女で約4,500万人が夜間1回以上排尿のために起きるという症状を抱えており、加齢とともにその頻度は高くなることがわかっています。夜間頻尿は男性だけの問題と思われがちですが、実際には女性の患者さんも多く、男女差はほとんどありません。 夜間の排尿によって慢性的な睡眠不足が起こり、日中の眠気で日常生活に多大な影響が出ることもあります。また、夜間の寝起きでトイレに行く回数が増えることは、転倒によるケガや骨折の原因となり、寝たきりの生活につながる場合もあるのです。 この記事では、夜間頻尿の原因を詳しく解説し、あなたの症状に合った対策を見つけるための情報をお届けします。

夜間頻尿とは?

夜間頻尿とは、「夜間、排尿のために1回以上起きなければならない」という訴えで、これにより困っている状態を指します。 夜間の排尿回数が2回以上になると、睡眠の妨げなど生活の質に影響を及ぼすため、治療の対象となることが多いです。 ただし、夜間に1回以上排尿のために起きていても、年齢や男女差、生活様式、認識の差によって生活への影響の程度が異なります。そのため、本人または家族の生活に支障がないのであれば、必ずしも治療をする必要はありません。通常は夜間の排尿回数が2回未満までは正常と見なされています。

夜間頻尿の頻度

わが国における調査では、夜間頻尿は若い人では10~30%に、お年寄りでは40~80%に認められ、年齢とともに排尿回数が増えることが報告されています。 また若い人では女性に、高齢者では男性に多い傾向があります。 50歳以上の男女の半数以上が、膀胱を空にしたくて夜間に目覚めてしまうという経験をしており、特に高齢者にありがちで、その多くは一晩に少なくとも2回は起きています。

夜間頻尿の主な原因

夜間の排尿回数が増える原因は、大きく分けて3つあります。 それぞれの原因を理解することで、ご自身の症状に合った対策を見つけることができます。

1. 夜間多尿

夜間多尿とは、夜間の尿量が多い状態を指します。 具体的には、1日尿量のうち夜間就寝中の尿量が65歳以上では33%以上、若年者では20%以上となる状態です。若い人の場合は、尿は日中にほとんど作られますが、年をとり心臓や腎臓の働きが低下すると夜間に作られる尿量が多くなってしまいます。 高齢になると夜間の尿量を減らす抗利尿ホルモンの分泌が低下し、十分に役割を果たさなくなるのが原因のひとつです。さらに水分摂取とも関係します。水分は飲料だけではなく、食物にも多く含まれており、自分で思っている以上に過剰な水分の摂取があり、体にたまっている方もいらっしゃいます。 高血圧や心臓病などのお薬が、原因で夜間多尿になる場合もあります。また、高齢者では高血圧のある方や心機能や腎機能が低下している方が多く、日中に比べ夜、横になると腎臓の血流量が増えて尿量が増えるため、夜間頻尿になりやすいことがわかっています。

2. 機能的膀胱容量の低下

機能的膀胱容量の低下とは、膀胱の容量が通常の量より35%ほど低下した状態を指します。 一回に膀胱にたまる量が少なくなると、全体の夜間の尿量が同じでもトイレに行く回数が増えます。機能的膀胱容量の低下の原因には、前立腺肥大症、神経因性膀胱、過活動膀胱、間質性膀胱炎などの疾患が挙げられます。 前立腺肥大症は男性特有の病気ですが、過活動膀胱、間質性膀胱炎、神経因性膀胱などは女性にも多くみられる疾患です。 過活動膀胱とは、膀胱が過敏になって尿が膀胱に少ししか溜まっていなくても、膀胱が勝手に収縮する状態を指します。その結果、急な尿意でトイレに駆け込むことになります。

3. 睡眠障害

睡眠障害は特に高齢者で見られます。 眠りが浅く、ちょっとしたことで目が覚めてしまいます。外来の診察ではトイレに行きたくて起きるのか、目が覚めるからトイレに行くのか、わからない人も多く見受けられます。 また、睡眠障害にはうつ病や不眠症などの精神的な病気以外に、睡眠時無呼吸症候群や、むずむず足症候群等の多くの病気が関連している場合もあります。加齢に伴う夜間頻尿と睡眠障害を併せ持つ患者さんは多くいます。 睡眠薬の内服で熟睡ができるようになると夜間頻尿も改善しますが、睡眠薬に頼ることなく、日々の生活リズムを見直したり、30分間程度の運動をしたりすることも有効です。
 

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夜間頻尿を引き起こす生活習慣

夜間頻尿の原因として、水分の摂り過ぎや偏った食事などの生活習慣や、加齢が関係しています。  

過剰な水分摂取

水分を必要以上に摂り過ぎると1日を通して尿量が増える多尿になります。 日中に排泄しきれなかった水分を夜間にも排泄するため、夜間多尿にもなります。例えば、脳梗塞予防などのために習慣的に多量の飲水をしている、利尿作用のある薬や副作用としてのどの渇きがある薬を服用している、のどの渇きを訴える糖尿病などの病気がある方などは、水分を過剰に摂取する傾向にあります。 また、寝る前に飲水量が多い方は、夜間多尿の原因となります。

塩分やカリウムの多い食事

塩分は主に食塩、つまり塩化ナトリウムとして食事から摂りますが、塩分の多い食事を摂ると、のどが渇いて飲水量が多くなり夜間の排尿量と排尿回数が多くなることがわかっています。 日本の医師たちによる研究では、夜間頻尿と食事中の塩分摂取量の関係が明らかになっています。研究では、塩分摂取量が多く睡眠障害のある患者に対し、食事中の塩分摂取量を減らすよう助言した後、3カ月にわたり経過観察しました。夜にトイレに行く回数は、平均で一晩に2回以上から1回に減りました。トイレの使用回数は夜間だけでなく日中も減り、生活の質も改善しました。 また、カリウムはナトリウムを尿に排泄するために必要なミネラルで、野菜や果物などに多く含まれており利尿効果を高める働きがあります。そのため、カリウムの摂取が多いと尿量が増える原因となります。

アルコール・カフェイン・辛い物

アルコールやカフェインなどは利尿作用(排尿を促進させる)があります。 そのため、アルコールは適正量を守り、夜寝る前にはコーヒーなどのカフェインを避けることで夜間の尿量を減らせることが期待できます。さらに、アルコールや辛いものは膀胱を刺激する働きがありますので、食べ過ぎ飲み過ぎには注意が必要です。

薬の副作用

あまり知られていませんが、治療のために服用している薬が原因で頻尿になってしまう場合があります。 頻尿の原因となる薬には、カルシウムブロッカー(高血圧治療薬)、利尿剤、SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)、膀胱筋の働きを強める薬、抗精神病薬などがあります。日本では高血圧症の患者様は約4,300万人いると言われており、高血圧に対する第一選択薬であるノルバスクやアムロジピンなどのカルシウムブロッカーを服用している方も多いです。

夜間頻尿の検査と診断

夜間頻尿の原因は様々ですので、適切な対処をするためには原因を明らかにすることが必要です。

排尿日誌の活用

成人1日の平均尿量は1,200~1,500ml(体重1kgあたり20~25ml)で、夜間尿量は1日尿量の約3分の1(400~500ml)が標準です。 また、1回排尿量は250ml前後なので、1日の排尿回数は5~6回、夜間の排尿回数は0~1回が標準になります。1日の排尿回数は、このように1日の尿量と1回の排尿量によって予測はできますが、気温や発汗や水分摂取量、体調などにより変化します。 そのため、1日を通して排尿状況(排尿時間と排尿量)と起床・就眠時刻をできる限り正確に記録することが大切になってきます。この記録を「排尿日誌」といい、排尿日誌をつけることで、夜間頻尿の原因の推測や治療の可否を評価することができます。 日差や体調の差はありますが、1~2日分の記録で十分で、排尿量の正確な計測が重要です。なお、就寝~翌日の起床第1尿までの夜間尿量が、24時間尿量の35%を超える場合を「夜間多尿」と見なします。

医療機関での検査

医療機関では、問診、既往歴、診察に加えて、尿検査、腎・前立腺超音波検査、採血等の全身合併症の検索を行います。 尿検査では、尿路感染症や悪性腫瘍(尿路上皮癌)、尿路結石による症状であることを除外します。腎・前立腺超音波検査では、前立腺肥大の有無や尿路結石などの除外や残尿の有無などの検索を行います。患者さんによっては採血を行い、糖尿病や高血圧の有無を検査します。 排尿日誌は、夜間頻尿を含む排尿の障害やその原因などの診断と治療に役立つばかりでなく、治療による効果の判定や医療機関を受診するときの病状の説明に大変有用となります。

夜間頻尿の対策と改善策

夜間頻尿の原因が夜間多尿のタイプの方は、生活習慣を試すことで改善できる可能性が高いです。

塩分と水分の摂取量を調整する

塩分を多く摂ると、それを薄めようと体の中の水分が血液中にどんどん引き込まれていきます。 その結果、血管内の水分が増えるため、尿の量も多くなってしまうのです。さらに塩分を摂取すると喉が渇きますので、水分を多く摂ってしまうことも尿量が増加することに拍車をかけてしまいます。 そのため、夕食時には塩分を少し控えたり、寝る3~4時間前から水分を少し控えたりすることで夜間の尿量を減らすことができます。

アルコール・カフェイン・辛い物を避ける

アルコールやカフェインなどは利尿作用があります。 そのため、アルコールは適正量を守り、夜寝る前にはコーヒーなどのカフェインを避けることで夜間の尿量を減らせることが期待できます。さらに、アルコールや辛いものは膀胱を刺激する働きがありますので、食べ過ぎ飲み過ぎには注意が必要です。

薬の見直し

治療のために服用している薬が原因で頻尿になってしまう場合があります。 頻尿の原因となる薬を服用している場合は、主治医に相談して薬の変更を検討することも一つの方法です。ただし、自己判断で薬を中止することは避け、必ず医師に相談してください。

生活リズムの見直し

不規則な生活習慣の改善やバランスのとれた食事、就眠前の飲水制限、ストレスを溜めないなど、普段から健康に気を遣うことが大切です。 日々の生活リズムを見直したり、30分間程度の運動(ウォーキングなど)をしたりすることも有効です。

骨盤底筋の機能低下と夜間頻尿

夜間頻尿の原因の一つとして、骨盤底筋の機能低下が挙げられます。 骨盤底筋群は、膀胱・腸管・子宮などの臓器を支え、排尿・排便のコントロールや体幹の安定に深く関与する重要な筋肉群です。しかし、加齢や出産、閉経、運動不足などをきっかけに機能が低下しやすく、軽度の尿失禁、骨盤の不安定感、下腹部の突出、性機能の変化といった症状につながることがあります。

骨盤底筋を鍛える新しい選択肢

骨盤底筋は、患者さんご自身で正確に収縮させ、継続的に鍛えることが非常に難しい部位です。 当院では、高密度焦点式電磁(HIFEM)技術を用いて、深層の骨盤底筋群を効率的に刺激できる**エムセラ(EMSELLA)**を導入しています。エムセラは、1回の施術で約17,000回もの超極大筋収縮を誘発し、通常のトレーニングでは届きにくい深部筋にアプローチします。 これにより、骨盤底筋の位置や収縮感覚を再教育し、回数を重ねることで筋力回復・機能改善・維持を目指します。

理学療法やピラティスとの併用

当院では、理学療法士による理学療法やピラティスを併用し、骨盤底筋だけでなく体幹インナーマッスル全体の機能改善を図っています。 これにより、尿失禁治療にとどまらず、腰痛・骨盤痛の改善、姿勢の安定、下半身ラインの引き締めといった幅広い効果を期待できる治療プログラムを構築しています。 エムセラ治療の特徴として、服を着たまま座るだけの治療で日常生活への影響がなく、非侵襲的で痛みが少なくダウンタイムなしです。治療後すぐにご帰宅可能で、通院の負担を最小限に抑えた設計となっています。男女問わず、加齢・出産後・運動不足に伴う骨盤底機能低下に対応しています。

まとめ

夜間頻尿は、夜間多尿、機能的膀胱容量の低下、睡眠障害という3つの主な原因があります。 特に夜間多尿のタイプの方は、塩分と水分の摂取量を調整したり、アルコール・カフェイン・辛い物を避けたりすることで、生活習慣の改善により症状が軽減する可能性があります。 また、骨盤底筋の機能低下が原因の場合は、エムセラのような最新の治療法や理学療法・ピラティスとの併用により、効果的な改善が期待できます。 夜間頻尿は「年齢のせい」「仕方がない」と諦める前に、医学的根拠に基づいた治療の選択肢をご検討ください。当院では、患者さまの症状や生活背景を丁寧に評価したうえで、必要に応じた回数・併用治療をご提案しています。 健全な日常生活を営む上で、十分な睡眠をとることは大事なことです。夜間頻尿でお悩みの方は、まずは排尿日誌をつけてご自身の症状を把握し、適切な対策を見つけてください。 神保町整形外科では、夜間頻尿や骨盤底機能低下に関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

著者情報

神保町整形外科 院長 板倉 剛

経歴

資格

所属学会

投稿者:神保町整形外科

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