
「最近、尿漏れが気になる」「骨盤のあたりに違和感や重だるさを感じる」——そんな悩みを抱えながらも、どこに相談すればいいかわからず、一人で抱え込んでいる方は少なくありません。
骨盤臓器脱は、骨盤底筋の機能が低下することで起こる状態です。
エムセラ(EMSELLA)は骨盤底筋を集中的に鍛える医療機器として注目されており、軽度〜中等度の骨盤底機能低下によって生じる症状の改善に役立つ可能性があります。ただし、骨盤臓器脱の程度や状態によっては適応外となるケースもあるため、受ける前に正しい知識を持っておくことが大切です。
この記事では、エムセラの仕組み・骨盤臓器脱との関係・期待できる効果と限界・注意点まで、整形外科医の視点からわかりやすくご説明します(効果には個人差があります)。
- ✅ エムセラが骨盤底筋に働きかける仕組み
- ✅ 骨盤臓器脱にエムセラが適応できるケース・できないケース
- ✅ 受診前に知っておくべき注意点と相談先の選び方
骨盤臓器脱とはどんな状態?原因と主な症状
骨盤臓器脱の基本的な仕組み
骨盤臓器脱とは、子宮・膀胱・直腸などの臓器が本来の位置からずれ下がり、膣の外まで出てしまうことがある状態を指します。骨盤の底には、骨盤底筋(こつばんていきん)と呼ばれる筋肉・靭帯・筋膜からなる複合的な支持構造があり、これらが臓器を正常な位置に保つ役割を果たしています。
この骨盤底の支持構造が弱まることで、重力の影響を受けた臓器が徐々に下垂してきます。
骨盤臓器脱は、骨盤底の支持機能が低下することで生じる状態であり、単純な「筋力不足」だけでなく、靭帯・筋膜の損傷や神経機能の変化なども関わっています。
骨盤臓器脱の主な原因
骨盤臓器脱は、さまざまな要因が重なって起こります。代表的な原因として、出産時の骨盤底への負担(特に経腟分娩・難産)、加齢による筋力・靭帯の衰え、閉経後の女性ホルモン低下、慢性的な咳や便秘による腹圧上昇、肥満などが挙げられます。
日本では高齢化に伴い、骨盤臓器脱を抱える女性の数は増加傾向にあるとされています。しかし、
「年齢のせいだから仕方ない」と諦めてしまっている方が多く、実際には適切なケアや治療で症状の改善が期待できるケースも少なくありません。
骨盤臓器脱の主な症状
骨盤臓器脱の症状は、脱出する臓器の種類や程度によって異なります。一般的に以下のような症状が現れることがあります。
- 膣の入口付近に何か出てくる・ふくらみを感じる
- 骨盤・下腹部・腰の重だるさや違和感
- 尿が漏れる・頻尿・排尿しにくい
- 排便しにくい・残便感
- 長時間の立位や歩行後に症状が悪化する
軽度の場合は自覚症状がほとんどないこともあります。一方で、症状が進行すると日常生活・運動・仕事への影響が大きくなることがあるため、
「気になったら早めに専門家に相談する」ことが重要です。
骨盤底筋の低下がもたらす影響を知ろう
骨盤底筋が弱まるとどうなる?
骨盤底筋は、膀胱・子宮・直腸を下から支えるハンモックのような役割を持つ筋肉群です。この筋肉が弱まると、臓器の支持力が低下するだけでなく、排尿・排便のコントロールにも影響が出ることがあります。
腹圧性尿失禁(咳・くしゃみ・運動時に尿が漏れる)は、骨盤底筋の機能低下が大きく関わる代表的な症状のひとつです。また、
骨盤底筋の機能低下は骨盤臓器脱の進行にも影響すると考えられており、筋機能の維持・改善がケアの重要なポイントとなります。
Point 01 骨盤底筋の役割
臓器を支える・排泄をコントロールする二大機能
骨盤底筋は①膀胱・子宮・直腸などの臓器を正しい位置で支える機能と、②排尿・排便を適切にコントロールする機能の2つを担っています。この筋肉が衰えると、両方の機能が低下するため、臓器の下垂と尿漏れ・頻尿などが同時に起こりやすくなります。
Point 02 骨盤底筋が低下しやすい場面
出産・加齢・生活習慣が積み重なる
経腟分娩後の骨盤底筋の損傷、閉経後の女性ホルモン低下による筋・靭帯の変化、加齢による筋力低下、慢性的な咳や便秘による繰り返しの腹圧上昇などが、骨盤底筋の機能低下を引き起こす主な要因として知られています。
Point 03 よくある誤解
「骨盤底筋トレーニングだけで骨盤臓器脱は治る」は誤り
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操など)は、軽度の骨盤底機能低下に対して有用とされていますが、すでに進行した骨盤臓器脱に対して自己流の運動だけで改善できるわけではありません。状態の評価なしに運動法を選ぶと、症状が変わらないばかりか、かえって腹圧がかかる動きが症状を悪化させる場合もあります。まず専門家による状態の確認を受けることが大切です。
骨盤底機能低下を放置すると?
骨盤底機能の低下を放置した場合、骨盤臓器脱の症状が進行することがあります。軽度であれば生活の工夫やリハビリ的アプローチで対処できる段階でも、進行すると手術が必要となるケースもあります。
また、尿漏れや頻尿が続くことで外出を控えるようになったり、運動・仕事・社会参加の機会が減ったりと、QOL(生活の質)全体に影響が広がることも少なくありません。
早い段階で状態を正しく把握し、適切なケアを始めることが、症状の悪化を防ぐうえで重要です。
エムセラとは?骨盤底筋を鍛える仕組み
エムセラの基本的な仕組み
エムセラ(EMSELLA)は、高強度集束電磁気(HIFEM:High-Intensity Focused Electromagnetic)技術を応用した医療機器です。専用の椅子に座るだけで、骨盤底筋群に対して強力な電磁気刺激を与え、筋肉を繰り返し収縮させることができます。
1回のエムセラ施術で、骨盤底筋が数千回にわたる収縮を行うとされており、自分でケーゲル体操(骨盤底筋を意識して収縮させる運動)を行うよりも、はるかに多くの筋収縮が得られます。また、衣服を着たまま椅子に座るだけで施術が完了するため、身体への負担が少ない点も特徴のひとつです。
エムセラが対象とする主な悩み
エムセラは主に以下のような骨盤底機能低下に伴う悩みへのアプローチとして使用されることがあります。
- 腹圧性尿失禁(咳・くしゃみ・運動時の尿漏れ)
- 切迫性尿失禁(急に尿意が強くなり間に合わない)
- 頻尿・過活動膀胱の症状
- 産後の骨盤底筋機能の回復サポート
- 骨盤底機能低下に伴う骨盤周辺の重だるさ
なお、エムセラはあくまで骨盤底筋の筋機能にアプローチする機器であり、
構造的な問題(靭帯の断裂・重度の臓器の脱出など)を直接修復する機器ではありません。このため、どの段階・どの状態の方に向いているかは、医師による事前評価が必要です。
施術の流れとセッション数の目安
エムセラの施術は、一般的に1回あたり約30分程度とされています。効果の実感には複数回のセッションが必要とされており、目安として6回程度(週2回×3週間)のプログラムが設定されることが多いとされています。ただし、必要なセッション数は個人の状態によって異なります。
施術中は骨盤底筋がリズミカルに収縮する感覚があり、人によっては施術後に筋肉疲労のような感覚を覚えることがあります。効果の現れ方には個人差があります。
⚠ エムセラを受けられない場合がある方
体内に金属製インプラント・ペースメーカー・除細動器・子宮内避妊器具(IUD)などの医療機器を使用している方は、エムセラの施術を受けられない場合があります。また、妊娠中・出血傾向のある方・悪性腫瘍がある部位への照射なども禁忌とされています。必ず施術前に医師への申告・確認を行ってください。
慢性的な痛みで悩まれている方、痛みの治療で悩まれている方 ご相談ください
エムセラは骨盤臓器脱に有効?適応と限界
骨盤臓器脱とエムセラの関係を整理する
骨盤臓器脱に対してエムセラが役立てる可能性があるのは、主に
骨盤底筋の機能低下が症状に大きく関与している軽度〜中等度の段階です。骨盤底筋を強化することで、臓器をより安定した位置でサポートする力が補われ、脱出感・重だるさ・尿漏れなどの症状が軽減することが期待できます(個人差があります)。
一方で、骨盤臓器脱には「筋肉の弱さ」だけでなく、靭帯や筋膜の損傷・断裂が主な原因となっているケースも多くあります。このような構造的な損傷に対しては、筋肉を鍛えるだけでは改善が難しいため、エムセラのみで対応できる状態かどうかを、事前に医師が評価することが非常に重要です。
エムセラが有用と考えられるケース・慎重に検討すべきケース
✅ エムセラが有用と考えられるケース
- ✔ 軽度〜中等度の骨盤底機能低下がある方
- ✔ 腹圧性尿失禁・頻尿などの排尿症状が主な悩みの方
- ✔ 産後に骨盤底筋の回復を図りたい方
- ✔ 骨盤底筋トレーニングをうまく続けられない方
- ✔ 手術を希望しない・まず保存的な治療を試したい方
⚠ 慎重に検討・他の治療が必要なケース
- ⚠ 重度の骨盤臓器脱(臓器が膣外に常時脱出している状態)
- ⚠ 靭帯・筋膜の構造的損傷が主な原因のケース
- ⚠ ペースメーカー・金属インプラント使用中の方
- ⚠ 妊娠中の方
- ⚠ 悪性腫瘍が治療対象部位にある方
エムセラ単独か、他の治療と組み合わせるか
骨盤臓器脱の治療は、症状の程度・原因・患者さんの生活背景によって、選択する方法が変わってきます。一般的な選択肢として、①骨盤底筋トレーニングなどの保存療法、②ペッサリー(リング型の器具を膣内に装着する方法)、③手術療法(メッシュ法・筋膜修復術など)があります。
エムセラはこれらの治療と組み合わせて使用される場合があります。たとえば、
骨盤底筋トレーニングの効果をエムセラで補い、症状の改善をより早く引き出すという使い方が考えられます。また、手術後の骨盤底機能の回復サポートとして用いられることもあります。
重要なのは、エムセラを「何にでも効く万能な治療」として捉えるのではなく、自分の状態に合った治療の選択肢のひとつとして、医師とよく相談しながら検討することです。
⚠ 自己判断でエムセラを選ぶことのリスク
骨盤臓器脱の状態を正しく評価しないままエムセラを試しても、期待する改善が得られないことがあります。また、重度の脱出がある状態でエムセラだけに頼ると、適切な治療のタイミングを逃してしまう可能性もあります。「エムセラが自分に向いているかどうか」は、まず医師に診てもらうことからはじめましょう。
骨盤臓器脱の段階(重症度の分類)について
骨盤臓器脱の重症度は一般的にステージ0〜Ⅳで分類されます(POP-Q分類)。ステージⅠ〜Ⅱ程度の軽度〜中等度では、保存療法・エムセラなどの筋機能へのアプローチが選択肢に入りやすくなります。ステージⅢ〜Ⅳでは手術的治療が検討されることが多いとされています。
ただし、どのステージであっても治療方針は個人の状態・希望・生活環境によって異なります。
「ステージが低いから大丈夫」「ステージが高いから手術しかない」という単純な判断にはならないため、専門家への相談が欠かせません(個人差があります)。
神保町整形外科のエムセラへの取り組み
東京都千代田区神田神保町にある神保町整形外科では、自費診療のひとつとしてエムセラを取り扱っています。整形外科・リハビリテーション科として、骨盤周辺の骨格・筋肉・神経の評価を行いながら、患者さんの状態に合わせた治療の方向性をご提案しています。
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整形外科専門医による状態評価のうえで施術をご提案:エムセラが適しているかどうかを医師が丁寧に確認します。
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10名以上のリハビリスタッフが在籍:エムセラと並行して骨盤底筋のリハビリ的アプローチを組み合わせることが可能です。
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平日18:30まで診療・神保町駅徒歩2分:仕事帰りのビジネスマンや、なかなか時間を取れない方も通院しやすい環境です。
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聖路加国際病院・慶應義塾大学病院・東京大学医学部附属病院からの術後リハビリ紹介にも対応:他院での手術後の回復サポートにも積極的に取り組んでいます。
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PFC-FD療法・NMN点滴・拡散型圧力波治療など多彩な自費診療を整形外科として提供:患者さんの状態に応じた複合的なアプローチが可能です。
よくある質問(FAQ)
Q エムセラは骨盤臓器脱の手術の代わりになりますか?
A エムセラは骨盤底筋の機能を高めるための機器であり、靭帯や筋膜の構造的な損傷を修復するものではありません。重度の骨盤臓器脱に対しては手術が必要となるケースが多く、エムセラだけで手術を代替できるわけではありません。軽度〜中等度の骨盤底機能低下に対する保存的なアプローチとして検討する際は、必ず事前に医師の評価を受けてください(個人差があります)。
Q エムセラの施術中は痛みがありますか?
A 施術中は骨盤底筋が収縮するリズミカルな感覚があります。強度は患者さんの状態に合わせて調整でき、施術中に痛みを感じた場合はすぐに担当スタッフへお伝えください。施術後に一時的な筋肉疲労感を覚えることがある場合も報告されていますが、感じ方には個人差があります。詳しくは受診時に医師へご確認ください。
Q 整形外科でエムセラを受けられるのですか?
A はい、エムセラは骨盤底筋という筋肉・運動器へのアプローチであるため、整形外科・リハビリテーション科でも適切な評価のもとで提供することができます。神保町整形外科では、整形外科専門医が骨格・筋肉・神経の状態を評価したうえで、エムセラをはじめとした自費診療のご相談にも対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
この記事のポイント
- ✅ 骨盤臓器脱は骨盤底の支持構造が弱まることで生じ、骨盤底筋の機能低下が大きく関係している
- ✅ エムセラは高強度電磁気刺激で骨盤底筋を繰り返し収縮させ、筋機能の改善が期待できる医療機器
- ✅ 軽度〜中等度の骨盤底機能低下には有用な選択肢となる可能性があるが、重度の骨盤臓器脱には適応外のケースも多い
- ✅ 「自分に向いているか」は医師による評価が不可欠。自己判断での施術選択は避けること
- ✅ 年齢や症状の長さを理由に諦めず、まず専門家に相談することが改善への第一歩
監修医師プロフィール
板倉 剛(いたくら ごう)(院長)
平成18年3月東海大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局
慶應大学病院、静岡赤十字病院、慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター、台東区立台東病院、 竹川病院、石川島記念病院、古河総合病院勤務を経て平成29年4月神保町整形外科を開院
慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程で脊髄再生に関する基礎研究に従事
資格・所属学会:医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、再生医療認定医、身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)、所属学会、日本整形外科学会、日本脊椎脊髄病学会、日本脊髄障害医学会、日本再生医療学会
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき、監修のもと作成しています。治療の効果・費用・期間には個人差があります。詳細は必ず医師にご確認ください。
🩺 院長コメント|板倉 剛(いたくら ごう)先生
「骨盤底の悩みは、年齢のせいだと諦めてほしくないと常々思っています。エムセラは、骨盤底筋に直接アプローチできる選択肢のひとつですが、大切なのはまずご自身の状態を正しく知ることです。当院では整形外科・リハビリテーション科の専門性を活かし、患者さんの状態を丁寧に評価したうえで、エムセラが適しているかどうかも含めて一緒に考えます。慢性的な症状でお困りの方は、ひとりで悩まずにご相談ください。」